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6/3/2024, 11:51:59 AM

恋を失うときは、振られたときでも、あなたに彼女ができたときでもなく、あなたへの気持ちを手放すとき。
恋い焦がれる気持ちは、色んなことを支えてくれる。憂鬱なことも憂鬱じゃなくなったりするし、綺麗になろうという取り組みは半ば躁状態のように頑張れるし、なんか謎にいつもより前向きな日々を過ごせたりする。
そして私の世界に新しいものを投下してくれる。あなたの好きな歌、読んでる本、ファッション、話すときや笑うときのくせ。それと、夕暮れや、雨や、夜の景色、あなたの姿越しに見る世界の素晴らしさたるや。一方通行のときめきや苦しみが、わたしにたくさんのことをもたらしてくれる。
そうやって私をひととき、支えて変えてくれたあの人から、わたし自身が通り過ぎようとするとき、恋は失われる。今や私にとっても好きな歌、本、笑い方のくせ。あなたの欠片を抱えながら。

5/15/2024, 10:10:19 AM

美容室で髪を整えてきた。今後こんなふうに自分にお金をかけることはそうそうできるものじゃない、となかなかに奮発したメニューだった。おろしたてのコスメを使っておしゃれをし、ご機嫌な気持ちで鏡の前に座った。
居合わせたお客さんはどうやら妊婦さんだった。出産や育児に関する話を楽しそうに美容師さんとしている。嫌だなぁ、いつまでこんなに気持ちが歪むんだろう。手元の雑誌に目を落としながら、綺麗に微笑む女の人たちに、この人はいくつだろうか、結婚は、もう子どもは、なんてことを考えはじめる。時間の経過とともによれるメイクを見て気持ちも沈む。

「風に身をまかせ」。思い出したのは、職場の、7つ年下の後輩から「流されやすい人」と評価されたことだ。誰とも争いたくない、誰の悪口も言いたくなかっただけだった。その実、みんなを薄っぺらく肯定するような浅はかさがあったことは否めない。
仕事で少し達成できたことと肯定的なフィードバック。ちょっとした運動やサウナやカフェでの読書。前向きになれることや好きなことをして、自分を、世界のすべてを肯定できるような気持ちになっても、こういうちょっとしたことで、すぐに真逆な心持ちになる。吹けば飛ぶような自尊心と決意。私という人間の面白み、重量なんて、紙のように軽い。
そう、私はとっても軽い人間だ。だから、また好きなことを目一杯して、自分の機嫌取りをして帰ろうと思う。気持ちが裏返るように。
今日は晴れていたから、今週頭からずっとそうしたいと思っていたこと、観葉植物にたっぷり水をあげて外に出すことができた。元気でいてくれると嬉しくなる。こんなに小さいのに、ぎっしりとした土と根っこのおかげで吹き飛ぶことはない。
ここ数年、避けていたヒールのある靴を最近履いて出かけるようにしていてる。これもきっと、今後そうそうできることじゃないから。バランスをとるために猫背の背すじが伸びるのが嬉しい。髪を切ってますます軽くなった自分で、一歩一歩確実に歩いていく。

5/11/2024, 9:04:18 AM

小学生の頃、近所にガーデニングが素敵なお庭のある家があって、その庭先でモンシロチョウが羽化するところを見せてもらったことがある。
時間をかけてもがきながら、蛹からゆっくり手足を出して、想像よりずっと大きい羽根を伸ばすさまの一部始終を見た。なんだか痛そう、って思った。そうやって生まれ直したあとも、しばらく動けずその場でじっとして、意を決したようにふわっと飛んでった。わたしたちが生まれるとき、お母さんは色んな辛さに耐えてくれたけど、わたしたちもきっと痛かったし、怖かったと思う。歳を重ねても、今の自分じゃ環境じゃいられなくて、痛みを伴いながら変わらなきゃいけないときなんて、いつもある。形を変えるってすごいことで、新たな自分で飛び出すって、とても勇気がいることだ。でも、やらなきゃ。そういうときに、あのモンシロチョウを思い出している。

5/3/2024, 2:52:31 PM

今から四ヶ月前、私は二人だった。
命が宿る前だった、と慰めのためにみんな言う。ちゃんと器ができてから、そこに魂が宿るのだから。だから、喪ったわけじゃないんだよと。そうなのかな。でもね、たった7週間、だけども7週間、わたしのなかで生きていたんだ。1日ごとに、形を変えて、少しずつ大きくなって、ひとつずつなにかを作って。
だからね、あのときの、かけがえのない日々のなかで、私が何を思って、何を感じながら生きていたか。どんなふうに世界が見えていたか。かけがえのないあなたと一緒に。二人だけの大切な秘密。

4/27/2024, 6:10:56 PM

人生で2回目のあの忌々しいウイルスに罹患。だんだん範囲の広がる咽の痛みと、当然のように出ない声、地獄のような咳、だるさや息苦しさ。苦しすぎて仰向けになれないことにはさすがに困る。医師からはとりあえず休息第一、そして栄養摂取と。ようやく和らいだのが5日目である昨日。抗生物質よ、君やっぱすごいね。納豆チャーハンを作る余裕も出てくる。
今の私の感性でいくと、生きること=わたしを営み続けるために必要なこと、すなわちご飯を食べること、そして寝ること。
納豆チャーハンは病み上がりには不向き、そのうえ味付けに失敗して半分も食べれなかった。生きることは、美味しいご飯も美味しくないご飯も食べること。自分の選択で、そのときの状況で、心情で、美味しくも不味くもなる。
かれこれ5時間ベッドの上で眠気の誘いを待っている。すやぁとスムーズに寝れても、ここ1年は2時間ごとに起きてしまう。生きるってほんと大変、睡眠ひとつをとっても。それでも繰り返す、営み続ける、なぜって。なぜだろうね。美味しいご飯を食べれる日が、ベッドが暖かく迎えてくれる日が、あるからだねきっと。

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