北極星は、南の形を夢見た

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4/23/2025, 1:00:41 PM

#80「どこに行こう」

春が来た 春が来た
どこに来た

もう二度と来ないよ

春は、父によって殺されたから

取り返しのつかないことになった
殺人現場を見た家族は 宇宙人になってしまった
忘れてしまったんだ 私が殺されたことを

死んだ次の朝
私は生きていて 
家族と一緒に食べたのだ
私を殺した父が作った
特製ペペロンチーノを

それは死にたくなるほど、おいしかった

日常は無理やり 4月31日を私だけが繰り返す
精巧なレプリカのしあわせ
みんなだけが、物語のその先の

めでたしめでたしに、いるみたいだ

桜の木の下の死体みたいに
強烈な違和感は塗りつぶされて
そらがきれいだ

殺されたことを嗤っている
どこに行っても
もう春は来ないのに、と

悲しいかな、レプリカを愛するしか私には

けれど今
私はあえて殺さなかった
鼻唄を歌う父を

もし、もしもほんとうに春が来るとして
そこに父がいなかったら

わたしの慰謝料を払ってもらえないから

そうしたら、桜を見ようね
どこにでも行ける自由って、きっと
最高の復讐だから

だから、生きていてよかったんだ

4/22/2025, 11:09:32 AM

#79「big love!」

知りたいっていう気持ちがあるかぎり
僕と君は繋がっていられるかな

これが愛なら それがいい

宇宙の未知より大きくて
まるで偉大な 一目惚れ

その名は
ビッグバン!!!

笑って いつまでも こうやって

4/15/2025, 12:12:45 PM

#78「春恋」

きっとあんたに恋なんかしたって
遠距離恋愛にしては遠すぎるよ
あんたは来年、再来年と
早くなるんだ、俺のもとから離れるの
そしてどんどん冷たくなる

ねぇ、ふらないでよ
いかないでよ
戻ってくるくせに
またやさしく笑うくせに

「あなただって、忘れられないのに?」

    あんた
これだから春が嫌いだ

4/13/2025, 12:36:45 AM

#77「風景」

夢から覚めた夢のように
これほどはっきり ぼやけたものはないだろう

僕の目の前の現実は
本当に現実なのだろうか まるでわからない

コンタクト越しに 輪郭をなぞっても
あなたの顔と 真意が見えない

上を見上げても
ドライアイは悲しみを語れない

子供の頃に見たコハクの月が
玩具みたいにチープに見える

ロマンと言う言葉の響きは
今や 責任と後悔に触れ

あの日から ぼんやりと
そして はっきりと

記憶はあっても
思い出がない

これは夢だ
悪い夢だ

あぁ、流れ星が見えないや

4/12/2025, 2:30:00 AM

#76「君と僕」

ヒトはヒトとわかりあえない
唯一の共感は小指への痛み
それと目の中のまつげ

ニンゲンは知識欲が発達した動物だ
・読むこと
・書くこと
・話すこと
それらは感情というものを理解する、
ヒトが用意した通信手段

けれど 動物は動物だ
争いが起きるのは結局 ヒトは等しく
同じではないということ

わかりあえないということだろう

平等なんて所詮 ただの夢
それが 現実だ

でも 知りたいと思った
君のことを

感情を 痛みを
欠陥のない君のすべてを

そして僕への感情を

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