北極星は、南の形を夢見た

Open App
4/15/2025, 12:12:45 PM

#78「春恋」

きっとあんたに恋なんかしたって
遠距離恋愛にしては遠すぎるよ
あんたは来年、再来年と
早くなるんだ、俺のもとから離れるの
そしてどんどん冷たくなる

ねぇ、ふらないでよ
いかないでよ
戻ってくるくせに
またやさしく笑うくせに

「あなただって、忘れられないのに?」

    あんた
これだから春が嫌いだ

4/13/2025, 12:36:45 AM

#77「風景」

夢から覚めた夢のように
これほどはっきり ぼやけたものはないだろう

僕の目の前の現実は
本当に現実なのだろうか まるでわからない

コンタクト越しに 輪郭をなぞっても
あなたの顔と 真意が見えない

上を見上げても
ドライアイは悲しみを語れない

子供の頃に見たコハクの月が
玩具みたいにチープに見える

ロマンと言う言葉の響きは
今や 責任と後悔に触れ

あの日から ぼんやりと
そして はっきりと

記憶はあっても
思い出がない

これは夢だ
悪い夢だ

あぁ、流れ星が見えないや

4/12/2025, 2:30:00 AM

#76「君と僕」

ヒトはヒトとわかりあえない
唯一の共感は小指への痛み
それと目の中のまつげ

ニンゲンは知識欲が発達した動物だ
・読むこと
・書くこと
・話すこと
それらは感情というものを理解する、
ヒトが用意した通信手段

けれど 動物は動物だ
争いが起きるのは結局 ヒトは等しく
同じではないということ

わかりあえないということだろう

平等なんて所詮 ただの夢
それが 現実だ

でも 知りたいと思った
君のことを

感情を 痛みを
欠陥のない君のすべてを

そして僕への感情を

3/31/2025, 10:10:22 AM

#75 「またね!」

また、といえるほど
あの場所に思い出があっただろうか

それでも桜は咲いているし
私はあの場所を今でも覚えていた

またね!

また、いつか会えたら
私は笑えているだろうか

3/14/2025, 8:43:39 AM

#74「透明」

それは清々しいほどに訪れた
花は透いていた

わたしが溶け込んだ風景
離れなければ 行けないから

散った桜の下で わたしは空気になれる?
いいや むしろ
宙に浮いてしまいそうだ

訪れて初めて
あそこが私の居場所だったと
気づいてしまって

あっ、


怖いくらいに美しいや


それは清々しいほどに訪れた
花は透いていた

Next