#62「どうすればいいの?」
埋葬に 笑い声
腐敗した墓の 腐敗した屍
しあわせな わたしの寝床
どうすればいいの?
明日の私は 私を裏切って
のうのうと生きているらしい
過去に囚われるのは
幸せに生きている未来が 消し去った
自分自身への 無意味な哀れみ?
ならばわたしの この涙は
殺されてしまうの!?
わたしは わたしが憎い
しかし 今日のわたしは
明日を消す権利を 奪われてしまった!
幸せな未来のわたしに
だれか!だきしめて!ゆるして!
わたしのこと引き留めてよ 今日に
たのしいことを 見つけてない
言えてないよ ありがとうを
今日の私にさよならを まだ
犬も 猫も 鳥も 神サマも
嫌いなやつも 好きな子も
不祥事のタレントも 幸せな金持ちも
わたしも 過去に
みんな平等に死んでゆく
未来のじぶんに 許されることを望んで
そうして みんな産まれ変わる
ならば フランダースの犬
そんな夢にね 抱かれたいの
ある意味 それは本望ね
わたしは まちがっていないと
おやすみなさい
あなたも しあわせなエンドロールを
#61「たくさんの思い出」
思い出すたび
ぱんっと溢れ出す ひかり
思い出すたび
心にすこし シミをみつける
思い出すたび
1枚の花弁を 落としてゆく花
思い出すたび
わたしは わたしの替えを探している
かき集めても 閉じ込めても
1カラットの宝石にしかならない程
儚い わたしの思い出
それを、思い出す旅
#60「哀愁を誘う」
ぶらりぶらり
わたしの命運が 風にさらされて
昼寝の猫が飛ばされるような
そんな危うさと 哀愁
#59「ケーキを、吐いたこと」
しあわせに 胃もたれしてしまう
でも確かに 幸せだったんだ
口に入る あの瞬間
ケーキを吐いても 何度だって
わたしの背中を さすって欲しかった
「嫌いなら無理しなくていいよ」と
どうか遠ざけないでくれ
分け合いたい 受け入れたい
あなたと しあわせを
ただ、それだけなのに
ケーキを 吐いたこと
どうか 許して欲しかった
そんな私を 愛して欲しかった
ショーケースに張りつく子供
あのまま 大人になりたかった
#58「たそがれ」
風が、わたしの肩を叩く
ゆらりゆらり 秋がふるえて
わたしの失敗ばかり 笑っている
いまだに夏を 忘れられないから
太陽ばかり 目に染みて
ふうりんの余韻に 取り残されている
急に来る方が悪いのだ、と
言い訳ばかり わたしはいつも
もうすぐ、日が暮れる
ぬるい想い出に たそがれる
秋は 少しばかり冷たかった