#94「泡になりたい」
ガラスに入った気泡を潰しては探して
堂々巡りの日々を送る
人波をうまく泳げなくて
うまく息継ぎができなくて
あげく海が怖いなんて
そんな人魚に居場所はない
錨のように落ちていくより
綺麗な泡となって天に昇れば
そこに居場所が見つかるのかな
なんて杞憂へと逃げたくなる前に
今日もきみに会いに行く
シュワシュワと心地よい音のメロンソーダ
例えるなら、きみ
うまく喋れない
うまく歩けない
うまく空気も読めない私に
きみはパチパチと、愉快に甘く笑いかけた
だれかは当たり前の存在だと言うけれど
私には贅沢すぎる大切な宝物なんだ
叫びたいようなそんな言葉も
うまく伝えられずに泡となって消える
小さかった泡が大きくなって
パチンと弾けるように
ある日、大切なきみに
耐えられなかったと言われたなら
私は泡になって消えたい
そうなってしまわぬように
言葉の泡をかき集めて
私はちゃんと
愛していると言えるかな
8/5/2025, 11:38:27 AM