青い鳥

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12/3/2023, 2:26:19 PM

「さよならは言わないで」


なんでもないただの一日のはずだった...
後味は悪いが、帰ったらまた仲直りしよう。
そうだ...帰ったら...

そのはずだったのに―――

突然電話がなった。
何を言われたかはもう覚えていない。
無我夢中で走った。ただただ走った。

変わり果てた姿で横になるあなたが目に飛び込んできた。
後悔とはなんて残酷な感情だろうか...
まるで一生解かれることのない呪いを被ったようだ。
心の底から押し寄せる波が、あなたの顔に雫を落とす。

ごめん...ごめん...本当に......
さよならは言わない約束だったのに

もう二度と

後悔しない人生を

一日を過ごすと

心に決めた日だった

12/2/2023, 10:41:55 AM

「光と闇の狭間で」


  一日にたった二回

  されど毎日必ず訪れる

  その瞬間に

  人は何を思うのだろうか

  感傷に浸るのか

  誰かと過ごした時を思い出すのか

  それとも未来への希望を見出すのか

  狭間に立つほんの一瞬に

  数多の小さな記憶が刻まれている
  
  広大な宇宙が織りなす神秘の中に
  
  

11/30/2023, 9:51:27 AM

「冬のはじまり」


 夏の終わりと表裏一体

 秋の顔を覗かせる隙間もなく

 ただ夏の背中を追いかける

 止まることのない繰り返しの中で

11/29/2023, 9:01:07 AM

「終わらせないで」


「また負けたー」
「これでおじいちゃんの勝ちだな!」

祖父は強かった。家を尋ねるといつも将棋を指しては、悔しい思いをして帰るというのが定番の流れだった。
祖父はよく、同じ話を聞かせてくれた。
警察署の仲間の中でも、一・ニを争うほど強かったという。この祖父が、警官として働いていた姿は、今でも想像ができない。
気が強い昭和世代の九州男児といったところか、孫には優しかったが、負けず嫌いなところが見て取れた。
将棋に興味を持ち始めて数年、何局も指し続けるうちに、満面の笑みで帰ることも増えた。白熱した勝負で、帰りが遅くなることも。

「桂馬はそこじゃないよ?」

様子がおかしくなり始めたのは、数年前だった。
同じことを何回も言ったり、俺が生まれて間もなく亡くなった曾祖母の名前を呼んだりする。
認知症だった。
俺が強くなったのか、祖父が衰えてしまったのか、あれだけ勝てなかった将棋が、もう負けることはほぼなくなった。
「強くなったな」
そう笑う祖父であったが、素直に喜べなかった。


あれから数年、もう二度と祖父と将棋を指すことは出来ないと、非情な現実が時よりよぎる。

なんでもないあの時間を思い出して。

11/28/2023, 9:06:42 AM

「愛情」

 
   意外と身近に潜んでいるものだ

              靴がそろっているのも

   近すぎるからこそ気づかない

            毎日の美味そうなお弁当も

   気付けないだけなのかもしれない

         帰ってくれば部屋がきれいなのも

   当たり前の日々の尊さに

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