ツリーにキャンドル、ジンジャークッキー
豪勢な夕食、煌びやかな飾り付け
キリストの誕生を祝うにはどれも完璧だ
だが、ここで問題がひとつ
それはわたし独りということだ
いくら豪勢でも、煌びやかでも、楽しそうな雰囲気はひとりではつくれない
さて、せっかくだから誰かを誘おう
絶対に楽しいパーティになるとキリストに誓って
もうすぐ良い子にはサンタさんがくる。
生まれてこの方僕の元にサンタさんは来たことがない。
シャンシャンシャン、なんて
鈴を鳴らしながら僕の枕元にプレゼントを置いてくれるのかな。
楽しさは胸に収まらず添い寝してくれるお父さんに
「いい子だからもう寝なね?」
明日はプレゼント、もらえるかな。
ワクワクは止まらなかった。
寝る間際、リビングのソファでホットミルクをすする。
チリン
こんな夜中に誰か来たようだった。
寒い夜をまとい連れてくる輩はどれほどかとドアを開けてやる。
いかにも不機嫌だという顔をしてやろう。そうして相手を困らせてやる。そう思っていたが、客は全くの予想外の人物であった。
「…え、あ………」
「来ちゃった」
頬を赤くしながらも僕の目をまっすぐとみてくれる。そんな、まさか…本当に?
これは夢なのではないかと頬をつねってみる。夢じゃない…夢じゃないんだ!
「ずっと…ずっとあいたかったです!」
またあなたに会えるだなんて!
あなたがいない今日も、この街は回り続ける。
あなたがいなくとも私の世界はさして変わりはしない。
でも、
あなたがいたからこそ私は強くなれた。
あなたがいなかったら今の私は存在しなかった。
私を染め上げてくれたのは紛れもないあなたで、
私の元からいちばんに離れたのも、あなた。
あなたがもし今の私を、空っぽの私をみたら
なんと言うのだろうか。
あなたと初めて出会ったはずの日。地面にはあまり白が見られず特につるんと氷の膜をまとっていた記憶もない。
あの時のあなたはとても好意的で、けれどもどこかに壁があって、それでも魅力的であった。
「今頃どうしているのでしょうか。」
私の独白は冷たい空気に霧散し、綺麗であったあなたとの記憶を掘り返す。
この街の雪の元で、また会えたら。