目の前が真っ黒に染まった。
少しじんじんする鼻を抑えながら、上を見上げる。
「はじめまして、お嬢様。」
「もうしわけございません…お怪我はないですか。」
まだもう少し一緒に居たいから。
ちょっとだけ、ことばでいっしょを引き延ばす。
どれくらい持ってくれるかな。
そんなことを考えてるうちに、
伝えてしまった。
言葉にしてしまった。
今日も、
「またね!」って。
昨日も今も音にできなかったのは、
それはきっと、またね!の前に伝えたかったことば。
雲り。
雨。
晴れ。
夏。
どれも愛する瞬間だった。
いつだって僕を見守ってくれていた。
今日の空は何色だろうか。
眩しいくらいの、水色か、
恵みをもたらす灰色か?
それでも明日には、光は差すのだろうか。
何億年と続いてきたこの世界。
僕もその一員に成れるだろうか。
「生を繰り返してるお前さんにゃ、もう立派な一員じゃねぇが。」
驚いた。
座った老人が笑顔で見つめていた。
「……そう…ですね。」
微笑みが移ってしまった。
と同時に、胸に暖かさがじんわり広がっていった。
「ありがとう…ございます。」
今日も明日も、これからも……ずっと、
いい日になるといいな。
手を繋いで。
この時を紡ごう。
決して離れることのない様に。
はぐれることのないように…
とっさに僕は手を掴み走り出す。
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「う〜〜〜ん……」
「こんなこと言えたらいいのになぁ…」
「あら、私は好きよ。」
「!?!?茶斗!?!?いたのか!?!?」
「ノックならしたわよ?はい、アイス。」
「あっ…ありがと……」
「…今のままでもいいんふぁない?」
((あいすをかじりながら、そう言ってくれる彼女が愛おしい。))
「目の前の優しいあなた……
…小説の前だと大胆になるあなた。」
「どっちとも愛することは楽しいもの。」
「…大好き。」
「……犬好き?」
「……もう、にごさないでよ、」
「……へへ、ごめん…」
「あんたねぇ、どうしたら、 だいすき が いぬすき に聞こえるわけ??」
「……だって、文字で書いたらそうなるもん…?」
「………」
「……ごめんごめん。」
「だって、どうしてもオレから伝えたくてさ!」
「…!」
「へへ、愛してるよ。」