空はこんなにも澄んでいる。
……絵の具をたらしたのならどうなるんだろう。
どんどん滲んでいって、最後には絵の具と同化してしまうのか。
色が増えるほど、
本当の色がわかんなくなっていく。
僕も、空みたいだったのかな。
にごった色は、もう……
……なーんて。
こころを くもりあめ にしてみると、たまにすっきりする。
にごった水は、僕の生きてきた証をしめしてる。
線画は、黒で描くだろう?
きっと、今は人生の枠組みを完成させてるんだ。
色塗りは、いつだってゆっくりしていけばいい。
黒を知ったのなら、何色にだってなっていける。
黒は、最強の色ってわけだ!
かっこいいしな!!
雨のち晴。
すっきりした!
さ、行こうっと!
君の背中をおって走った。
だって、まだ伝えてないことがたくさんあった。
「待って!!!」
「お願い……っ!!」
僕の思いと逆みたいに、どんどん声が小さくなっていく。
っ…!
どんどん里の背中が小さくなっていく。
僕は、最後の力を振り絞ってめいいっぱいに叫んだ。
「里、ひとりにしないで……大好きだから!!!!」
普段の僕には、出せない言葉。
今なら、素直に言えた。
「……知ってるよ。そんなこと。」
少し間をあけて、笑いながら、里は振り返ってくれた。
「…っ!」
「俺だって、大好きだよ。
こんな親友しんでも会えねえよ。」
「ありがとな、里。」
「…っ!まって!!!」
「それなら、僕も一緒に行く!!!!」
「だめだ。」
「……っ!」
「俺の親友なんだから、分かってんだろ?」
「さ……と。」
「少し、離れるだけだ。」
「俺たちの絆があれば、また会えるさ。」
「さと……さと……」
里の名前を繰り返す自分を客観的に見てしまう。
どうして、言葉がでてこないんだろう。
僕は、僕は………
「はぁ……しゃぁねえな。」
冷たい身体が里に引き寄せられる。
「言葉なんて、いらねえよ。
おまえの顔で分かるっての。」
「また会えるから。本当だから、
またいつもみたいに、笑ってくれよ、な?」
「……うん。」
「また会おうな、湊。」
僕は、今の全部の気持ちを込めて、笑顔を贈った。
(二人がさいかいするのは、もう少し後のお話……)
HAPPY END
冷たい身体というのは、
里を失うと、身体が機能しないくらいという感じを込めてます。
(N N BOX)
【軌跡】
「…これなんて読むんだ?」
「きせき だよ。」
「へぇー!なんかロマンチックな読み方だなーー。」
「ふふっ…」
「なんだよ、ニヤニヤしやがって。」
「え、してないよ?」
「し・て・た!!!!!割と鼻息まで聞こえてた!!」
「…ごめんごめんって、なんか可愛くて」
(三津のせいいっぱいのドヤ顔)
「へへ、この前はcuteって言ってくれたから、
僕からの可愛いのプレゼントだよ〜〜」
「…そっか、そっか。」
ーーー
2月27 日に登場していた二人にまた来てもらいました🤏
NN BOX より
「クリスマスかぁ…」
たくさんの喋り声の中で呟く。
色とりどりなプレゼント、イルミネーション。
そして、セールのお姉さんの元気な声……
少し通っただけだったが、
明るいムードに自然と足が速くなる。
少しして、暗い中一人しゃがみ込む。
「クリスマスのプレゼントをもって来たよ。」
今の俺の顔はどんなふうに見えているのだろうか。
…叶うのなら、ぜひ感想を聞かせて欲しい。
きっと、涙と鼻水まみれの顔をしている思うのだけれど。
「今年もね、たくさんの料理を作ったんだよ。」
「あと飾り付けも…頑張ってみたんだ。」
「それに未久の大好きなシチューもたくさん…」
あの日、鳴らされるはずだったベルの音は鳴らなかった。
もう二年はたっただろうか。
ここにくれば、ついてきてくれるんじゃないかなんて期待してしまう。
「こっちに恋。」
「……なーんて。」
「かっこいいだろ?この文字考えた方天才だと思わないか?」
携帯で目にした言葉に、自分なりの愛を込めて呟いてみた。
「愛にきて。」
「な〜んて返事をしてくれてもいいんだぞ?」
「………。」
返答がないのはわかっている。
「……っと、ちと寒くなったな、待っててな。
いつもの自販機でここあ買ってくるから。」
半年前だったら、しゃがみ続けてすぐ動かせないはずの足も3秒たたない内に、歩き出せるようになった。
「待ってるよ。」
背中から聞こえた声に驚く。
「ははっ、未久らしいや。」
滴る涙が暖かかった。
〜〜〜〜
去年の冬に、下書きのままだったお話(ベルの音のお題)
と、今回のお題を組み合わせて見ました!
お披露目できて嬉しいです。
(NN BOX より。)
どこへ行こう。
僕らはどこへだっていける。
そう思っていたあの頃も、理解してしまった今も。
きっと、思う気持ちは変わってない。
蝉の声に、流れる汗。
べとべとしてしまった体と服。
きもちわるいなんて、気にしながらも進む足は止めなかった。
この先に何があるんだろう。
持ち続けていたのは、大きな期待1つ。
子どもには、大きいものも、大人になると小さくなる?
まるで、僕と期待が入れ替わったみたいだ。
空を見上げて、ふと考える。
じゃあ、大人になった僕が、たくさん期待を胸にしたらどれくらい大きくなるんだろう。
って。
昼休憩。
夏はもうすぐ、
縮まった、心に息を吹きかけるように、
大きく深呼吸した。
今年こそは、実家にでも帰ろうか。
「課長、少しいいですか。」
きっと、忘れられない夏になる。