こぼれたアイスクリーム
漂う哀愁。
胸が締め付けられるこの瞬間。
👓こぼした分、僕に降りかかる不幸が減ったんだ。👓
そう思うことにした。
そうとしか思えない。
そうなんだ。
……アイスをしきりに運ぶ蟻が羨ましい。
やめてくれ。
だって、それは、僕の胃に入るはずだったものなんだぞ……
そんなに、美味しそうに持って行くな……
いや、
はぁ……
ゆっくりしててもしょうがない。
薄い財布を、尻目に
アイスを飲み干し、
僕は走った。
そうだ、ついでにクリームチーズ味にも、手を出そう。
END
アイスだいすき少年
(彼は一番アイスを愛しています。
かなりショックな出来事でした。)
【ぬるい炭酸と無口な君。】
単時は、コップに手を当てる。
すっかりぬるくなってしまった炭酸に、それほど時間が経ったのだと、気づかせられる。
空気は、もう抜けてるだろう。
…相変わらず聞こえてくるのは、蝉の声だけだ。
「……君の口が蓋ならば、炭酸は抜けなさそうだね。」
「は?」
「…………」
目を逸らす。
「…ばかじゃねえの」
「ふふ、ごめん。」
見つめてみる。
「はぁ……、だいたいな、お前のそういう……」
ねえ、単時、
静かな時間もいいけれど、
昔みたいにこうやって言い合う時間も僕は大好きなんだよ。
END
波にさらわれた手紙
乱暴な波が、僕の心を落ち着かせてくれた気がした。
塩水にもまれて、沈むことなく対岸に届いたのなら、
彼女が蓋を開けてくれたのなら、
紙に滲んだ僕の気持ちも、ぜんぶ、全部
空に帰すのかな。
僕の願い事は、全部君にあげる。
だから、
帰ってきてくれよ、実。
一年中、毎日だって、君のことを考えるけれど、
気温が暑くなるほど、思いも焦げていく。
もうすぐ、8月、君に会いたい。
そう思ってしまうのは条件反射なのかな。
帰った一夏の思い出。
川で遊んで、
虫をとって、
アイスを食べて
プールに行って……
子供の夏休みは長いと大人たちはいうけれど、
あの年の夏休みは、本当に一瞬だったな。
遊び疲れて見上げた明るい空。
明るいならまだ遊べるかも?とか二人で笑っておこられて。
……あの時の様には、走り回ることはできないけれど、
今年は、会えるといいな。
空はこんなにも澄んでいる。
……絵の具をたらしたのならどうなるんだろう。
どんどん滲んでいって、最後には絵の具と同化してしまうのか。
色が増えるほど、
本当の色がわかんなくなっていく。
僕も、空みたいだったのかな。
にごった色は、もう……
……なーんて。
こころを くもりあめ にしてみると、たまにすっきりする。
にごった水は、僕の生きてきた証をしめしてる。
線画は、黒で描くだろう?
きっと、今は人生の枠組みを完成させてるんだ。
色塗りは、いつだってゆっくりしていけばいい。
黒を知ったのなら、何色にだってなっていける。
黒は、最強の色ってわけだ!
かっこいいしな!!
雨のち晴。
すっきりした!
さ、行こうっと!