昨日へページをめくる。
想いを馳せながら。
幸せだったあの頃を思い出しながら。
日記を読む手は止まることはなく、
あの子を求めて、右へ左へ…
ひぐらしの声が心地いい。
僕はね、今から次のフェーズに移ろうとしてるよ。
君は、受け取ってくれるかな。
今度は僕が幸せにするから。
ふたりでいればだいじょうぶ!
なんだって、のりこえられるし、
さむくなったら、あっためられるよ。
……あつくなったら、どうするのかって?
ふふ、きみのそういうとこきらいじゃないよ。
……そうだねぇ、
そうなったら、ふたりでこたえ、さがしてみよっか!
なんだよ、そのかお。
ぼくだって、なんでも、こたえをしってるわけじゃないんだよ?
……それに、
あたらしいかんじょうを、
めばえさせるのがきみのおやくめでしょう?
よろしくたのむよ、はかせ。
こぼれたアイスクリーム
漂う哀愁。
胸が締め付けられるこの瞬間。
👓こぼした分、僕に降りかかる不幸が減ったんだ。👓
そう思うことにした。
そうとしか思えない。
そうなんだ。
……アイスをしきりに運ぶ蟻が羨ましい。
やめてくれ。
だって、それは、僕の胃に入るはずだったものなんだぞ……
そんなに、美味しそうに持って行くな……
いや、
はぁ……
ゆっくりしててもしょうがない。
薄い財布を、尻目に
アイスを飲み干し、
僕は走った。
そうだ、ついでにクリームチーズ味にも、手を出そう。
END
アイスだいすき少年
(彼は一番アイスを愛しています。
かなりショックな出来事でした。)
【ぬるい炭酸と無口な君。】
単時は、コップに手を当てる。
すっかりぬるくなってしまった炭酸に、それほど時間が経ったのだと、気づかせられる。
空気は、もう抜けてるだろう。
…相変わらず聞こえてくるのは、蝉の声だけだ。
「……君の口が蓋ならば、炭酸は抜けなさそうだね。」
「は?」
「…………」
目を逸らす。
「…ばかじゃねえの」
「ふふ、ごめん。」
見つめてみる。
「はぁ……、だいたいな、お前のそういう……」
ねえ、単時、
静かな時間もいいけれど、
昔みたいにこうやって言い合う時間も僕は大好きなんだよ。
END