【ぬるい炭酸と無口な君。】
単時は、コップに手を当てる。
すっかりぬるくなってしまった炭酸に、それほど時間が経ったのだと、気づかせられる。
空気は、もう抜けてるだろう。
…相変わらず聞こえてくるのは、蝉の声だけだ。
「……君の口が蓋ならば、炭酸は抜けなさそうだね。」
「は?」
「…………」
目を逸らす。
「…ばかじゃねえの」
「ふふ、ごめん。」
見つめてみる。
「はぁ……、だいたいな、お前のそういう……」
ねえ、単時、
静かな時間もいいけれど、
昔みたいにこうやって言い合う時間も僕は大好きなんだよ。
END
8/4/2025, 7:18:15 AM