やまめ

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4/4/2024, 1:36:24 PM

「大丈夫?」
何度この言葉を言われたかわからない。
「何が?」
あと何度そう言えばほっといてもらえるだろう。
そんなこと思っちゃうのは、
全部あなたのせいなんだよ。

それにしても、神様って酷いよね。
いくらあなたが全てを委ねる相手でも、
私はあなたのために神様に頼ってたんだから。
それなのに
私の世界からあなたを連れ去ってしまうなんて、
なんて試練を与えてくるんだ。

でもあなたにとっては違うかもね。
神様の御元へ招かれたんだから。
「神様がいるから、私は一人でも生きていける」
と言ってたあなたは。

でもさ、私は見たくないよ。
あなたの姿を前にして
涙を堪えきれないあの人の横顔も、
悲しくて寂しくて
嗚咽をもらすあいつのつむじも、
まだよくわかってなくて
「ママは?」と首を傾げるあの子の少し空いた口も、
全部、見たって嬉しかないよ。

元気にしてましたか?
今、私はあなたの肉体を前に
あなたに語りかける。
やっと会えた、
何年ぶりだろうね?
私はあなたに再会するために生きてきたのに、
なんで、あなたのこんな顔見なくちゃいけないの?

「ねえ神様。あのさ、
ちゃんともてなしてよ?
その人は私の大切な人なんだから。
世界で一番好きな人なんだから。
きちんと愛するために、
私は神様に祈ったんだから」

今日はあなたの顔を見れる最期の日だから。
もし奇跡が起こって、
あなたが私の顔を見ることがあったらって思ってさ、
そういう時のために、
私は今日ちゃんと笑顔でいるよ。

言いたくないな。
でも、でも、
さようなら。

4/3/2024, 2:21:21 PM

ひとつだけ、
ひとつだけわがままを言うなら、
またあなたに会いたい。
あなたの姿を、あなたの声を、
僕の五感でとらえたい。

どれだけ頑張っても、
あなたにさようならは言えそうにないんだ。
こうやって書くだけで、
悲しくてたまらなくなってくるからね。
会う度にこれが最後かもしれないなんて
思ってみるけど、
だからこそ悔いのないように
笑って手を振るけれど、
だけど、

本当はいつもあなたに会いたい。
毎日のようにおはようを言えた日々は
たしかにあったんだ。
それがどれだけ幸せなことか。
それにどれだけ元気づけられたか。
あなたに会える、たったそれだけで、
僕は何日だって、何週間だって頑張れたんだよ。

ねえ、もうひとつのわがままを呟いてみるから。
健やかであれ。と。
大丈夫、きっとまた会いに来るよ。
大丈夫、だから、僕は、大丈夫。
信じて、手を振るんだ。
またね、がふさわしい僕でありたい。

じゃあ、また。

4/2/2024, 3:15:55 AM

「じゃあね」って、なんで今日言うんだよ。
そういうずるいところ、大嫌いだ。
ああそうか。君は嘘が好きなんだっけ?
僕はね、ずっと嫌だなって思ってるよ。
悲しくなってくるからね。

君の背中に、なんて声をかけていいのか
わからなかった。
君の笑顔に、どんな表情で返したらいいのか
わからなかった。
一瞬泣きそうな顔をした僕に、
君は「どうしたの?」って言ったよね。
僕はあの晩、初めて一人で缶ビール1本空けたよ。
一人で飲むお酒は、妙に哀しくて
魅惑的な味がしたよ。

「ほんとに今日こそは『さようなら』だね」
ねえ、僕はなんて返したらいいの?
「ありがとう」
何も言わないでよ。
…黙って行かないで偉いね。

「君には言っとくべきだと思ったんだよ」
そう言った君は、なんとも言えない表情で、
「言ってくれてありがとう」
そう言った僕は、少しだけ笑ってて、

やっぱり、
今日だけほんとのこと言う日にしてほしいよ。
じゃないと僕は、たぶん耐えられない。
でも、君はそれを望むんだよね。
僕の前から去る日は、今日なんだと。
ずるいね。

「じゃあね」って君が言うから、
じゃあせめてさ、
「またね」…なんてね?

3/31/2024, 1:00:25 PM

元気でいて。って言ったって、
きっと君には届かないんだよね。
だって君の願いはこの世界から
いなくなることだもんね。

君はたまに体調を崩すけど、
向こうではそんなこと気にしなくてもいいのかな。
あれ?もしかして感情もないのかな。
あると信じたいよね。
だって君の嬉しそうな顔は
僕が知る世界ではダントツで可愛いんだから。

だから、そう信じて言うけどさ。

どうか、幸せでいてね。
幸せに満たされて笑っててね。
病は気からっていうしさ、
僕もその言葉信じて
どうにかここで踏ん張ってみるよ。

「馬鹿野郎」って言いたいよ?
「なんで置いてくんだよ」って。
だけど、言わないよ。
ずるいのはあくまで
「ごめん」って言った君だけだよ。

だから、かわりにさ。
…これくらいは許せよ?

幸せでいてね。

3/30/2024, 2:21:08 PM

そんな普通に腹をつんつんって、
そんな普通に笑いかけちゃって、
そんな普通に僕の隣で「またね」なんて、
そんな普通に僕の手を握って、
そんな普通に僕の身体に肩ぶつけて、
そんな普通に連絡先交換して、
そんな普通に抱きしめさせてくれて、
なんで、そんな当たり前みたいに、僕に特別をくれるの?
君の何気ない日々の中で、何気なく僕は登場しちゃってんだね。
そうやってまた、過去の思い出へと溶けていく今日を歩きながら、僕も君に「またね」って手を振るんだよ。
またね。

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