酷い言葉ばかりが多く投げかけられ、少しだけあったはずの優しい言葉はそれらに埋もれてしまって、まったく私の耳には届かなかった。
人を傷つける事を楽しむ言葉に埋もれてしまって、動くのが酷く億劫になってしまい、長い間動かずに過ごした。
絶え間なく聞こえ続ける悪意ある言葉の中に、一つ、一つだけ、こちらに向けたものでは無い言葉が聞こえた。
「 」
聞こえた言葉は誰かの名前で、その名前は私が聞いた名前の中で最も秀麗で、その名前を口にしてみれば、どの歌よりも流麗であった。
それからは、その名前の持ち主の事以外はどうでも良くなってしまった。
それまで気になっていた酷い言葉も、私の耳には届かなくなっていた。
続きが書ける気がしない。
〖I love…〗
酷く残酷な言葉が投げかけられた。
それに反論できる何かを私は持っていなかったので、一方的に罵られ続けた。
しばらくそうしていたら、段々と自分はダメな奴なのでは、と思うようになった。
ゆっくりと、確かに、そんな不安が積もっていった。
飽きた
君はきっとそんな事をしないだろうに、私はこんな夢を見てしまった。
いつもよりも露出の多い服を纏い、挑発的な笑みを浮かべて、私の腹部にしばらく手を置いて、それから、その手を下へ。
そこで目が覚めた。
良かった、夢だったのだ、と安堵感が全身を巡ったと同時に、あんな夢を見てしまった自身への嫌悪感を覚えた。
二度とあんな夢は見たかない。
〖特別な夜〗
空いっぱいに星が浮かんでいて、その空を白いクジラが泳いでいる。
ぐるりと宙返りするみたいに回って見せて、得意げにひと声鳴いた。
「あれが先日お話した、一万年に一度だけ見ることのできるクジラです」
隣で一緒に空を見上げていた師匠は、いつもの崩れることのない笑みを浮かべて言った。
飽きた。
海の底って神秘だよね。
何があるか、何がいるか、それらがハッキリと分かっていないんだ。
夢とか、浪漫が詰まっているよね。
良いよねえ。