【盛夏】
高く高く入道雲が立ち込めていた
うんざりするような暑さ
秋まではまだあるようだ
私は旧校舎に向かった
もちろん目的地は空き教室
だが、
栞さんは夕暮れにしか現れない
簡単に言えばこれはサボりだ
この姿を栞さんに見られれば
きっと強く叱られるだろう
それでも旧校舎に向かった
【3時間目】
私が旧校舎に行くのは
決まって3時間目だ
1時間目や2時間目をサボるのは気が引けるし
4時間目はランチ前なので先生もよく通る
だから決まって3時間目に
旧校舎に向かう
「、、、」
そこで何をするかと言うと
いつも栞さんのいる窓際で風に吹かれる
ただそれだけ
贅沢な時間の潰し方である『なにもしない』を
するのだ
会えないとわかっていても
そこに行けば栞さんがいる気がして
どうしても行ってしまう
「またサボっちゃったな、」
とはいえ少しは罪悪感もあるもので
その空き教室で3時間目にやるであろう勉強をする
全く意味の分からないものだ
だが
今日はそうしなかった
他に考えたいことがあったからだ
栞さんについて
私は栞さんについて何も知らないのだ
旧校舎の空き教室に現れて、校庭に出ることもあるが
学校の敷地からは出ない
オカルトマニアの友人によれば
そういう霊は大体そこで死んだ地縛霊か
そこに未練をもつ霊か、だそうだ
今日の夕方、聞いてみることにしよう
【夕暮れ】
いつものように空き教室へ向かった
とくに急いでいなかった
だがだんだんと歩くスピードが速まっていく
聞きたいことがあるから
私は空き教室の前まで来て
そこの窓から窓際を覗こうとした
「ッッ!」
覗く寸前にどこからか鋭い視線を感じ
反射で後ろに振り返る
そこには
「君かい?いつもいつもここに来る噂の子は」
「、、、?」
全く見覚えのない中年の男性がたっていた
つづく
(作者のひとりごとコーナー)
こんにちはっ微塵子です!
ミジンコと呼んでください
不登校中学生です
昨日からの続きであります
というのも、昨日は予定が山積み(?)で
夜に書けず、、、
昨日の分のテーマ、高く高くと
今日のテーマである鋭い視線で
書かせていただきました
前の投稿から続いた物語です
(つづくと書いて置きました)
これからもよろしくお願いします!
【清らかな】
「戻ってみたいものだなぁ」
ある古びた古本屋
客も入らず風が吹けば開け放たれた扉が
寂しげにカタカタと動く
そんな古本屋に珍しく
一人の客が入っていた
日暮 栞
彼女はそういった
「栞ちゃん、もう夕暮れだよ、
そろそろ家に帰りなさぃ、」
古本屋で働く
みすぼらしい中年の男性、店長が栞に話す
アルバイトで入っている若い女性もいる
「そうだよ栞ちゃん、またお母さんに怒られても
知らないよ〜?」
高く結んだポニーテイルを揺らしながら
明るい調子で話す
「、、、もう少しここにいてもだめですか?」
栞はむっとした表情でその女性に言う
ダメダメっと指をピンと立て
栞の鼻にあてる
「さっさと帰りなさいっほらっよく言うでしょ?
カラスが鳴くからかーえろーって」
「そんなに馬鹿にしないでよ、
子どもじゃないんだから、、、私はもう立派な高校生だよ?
大人なんだから」
大人ー?っとクスクス笑いながら
店長のほうに向く
「高校生だってまだ学生だぞ、帰りなさい
本屋も閉めなきゃいけないから」
ぶーっと不服そうな顔をしながら
栞は読んでいた本を閉じる
その姿を見てアルバイトの女性はニコッと笑い
偉い偉いっと頭を撫でる
「だから子どもじゃないってぇえええつ!」
【夕暮れに】
「あーぁ、追い出さーれたぁー」
わざと聞こえるように栞は話した
古本屋の店長達が手を降っていたのに気づき
めいいっぱい手を降ってから
家路へ向かった
「ん、ここ早く行かないと赤になるんだよねぇ」
栞の前には渡れない横断歩道と呼ばれる
ごく普通の横断歩道があった
栞はあまり通らないが
古本屋に寄って遅くなったとバレたら怒られるため
少し近道したのだ
「よしっ大丈夫かな?おうだーんっ」
【私は】
栞は死にかけていた
文字通り死にかけていた
テストでオワターとかそういうのではない
本当に死にかけていたのだ
「、、、まさ、か、、信号無視の車に、
はねられ、る、なんて、」
小さな声で栞はつぶやいていた
まだ意識はある
遠くから二人の大人が走ってくる
一人は警察官、もう一人は栞をひいた人だ
「、、、」
栞は薄らぐ意識の中
ただ一つだけ心残りがあった
「私、にも欲しかっ、、たな、」
その声は誰にも聞こえない
「友達、」
目の焦点が合わなくなってきた
「子供のように、簡単に、友達を、」
そこで意識が飛んだ
【死んだんだ】
あとがき
こんにちはっ微塵子です!!
不登校中学生です
昨日から始めました
小説とかだと短編より長編のほうが作るので
これは昨日の続きです!
ほんと後先考えずにつくっちゃってるので
若干話が噛み合ってませんね(わはは)
これからも続けていくつもりなので
よろしくお願いします!!
【部活帰り】
さっきまで眩しかった太陽が
水平線に消えていく
そんな時間
私はある人に会いに行った
そこは旧校舎
こんな時間でもそうでなくても
人は寄り付かない
その旧校舎にある空き教室に
私は向かった
一つの人影があった
ロングヘアーをたなびかせてその人はいた
「、、、」
彼女は栞
普通の高校生
平凡で、普通で、
飛び抜けて大きな個性も無く
クラスでも目立つような人ではない
私の先輩だ
「、、、」
その人には一つだけ秘密がある
私しか知らない秘密
「、、、帰らなきゃ」
そう呟いてこちらを見た
そしてニコッと笑った
栞は私の待つ廊下に出て
にやにやしている
「また会いに来たの?
先輩の秘密を知って思い上がっちゃってない?」
すこし意地悪な口調で話しかけてくる
私は少しだけ笑顔になれた
部活で疲れていた足ももうすっかり元気だ
【校庭】
「、、、いつも見てますよね、夕日、
好きなんですか?」
すこしキョトンとした顔をして
また意地悪に笑った
「そう見えた?」
栞は軽い足取りで私の前を歩く
タンタンッっといった擬音が似合いそうだ
栞さんとは帰り道が違う
だから正門でさようならをする
そこまでの時間が私は好きだ
栞さんと一緒にいれるから、、、
本人には言えないけれど
【正門】
「後輩ちゃんっ」
少し大きな声で私を呼ぶ
「また会いに来てくれる?」
少し照れたような表情でこちらを見てくる
、、、夕方だから、気のせいかもしれないけれど
「、、、もちろんです!
栞さんと話すの楽しいのでっ」
好きだからなんて言えない
「、、、こんな私に、?
ふふっ 後輩ちゃんは優しいね」
だって栞さんは
「じゃあ、また会おうねっ!」
だって、
「はい、また会いましょう、優しい幽霊の栞さん、」
もう何年も前に死んでしまっているんだから、