クリスマス/如月 紅葉
クリスマスは、毎年1人で過ごす。そう決めていた。親友とワイワイクリスマスパーティーをしても良いが普通に1人でいつも通り過ごせば、良いと思っていた。
12月23日
会社で仕事をしていた。すると、いつの間にか定時になっていた。ちょうど仕事も終わったし、帰ろう。そう思っていた。
「あの、鈴木さん。」
そう呼び止めたのは、同士の若井さんだった。
「はい、なんですか。」
何か仕事のミスがあったのかもしれない。だから、僕は、耳を傾ける事にした。
「あのさ、明日の15時頃ってさ、暇。」
彼女がそう問いかけた。正直に言うと1人で過ごしたい。けれど、もうこんな機会は、ないと僕は、思った。たまには、人とクリスマスを過ごしても良いのかも知れない。
「特に、予定は無いです。」
「そっか。じゃあ、明日の15時頃に〇〇公園で待っててくれる。」
「分かりました。」
そう言って彼女は、自分の席に戻った。
12月24日
待ち合わせの場所についた。時計を見るとまだ待ち合わせの時間より、速い。近くに自動販売機があったので、ホットの飲み物を買って、近くのベンチで本を取り出し読み始めた。公園には、子供が沢山いる。中には、クリスマスの話をする子もちょくちょくいた。何分経ったかはわからないけど、ちょっと後に若井さんがきた。会社の時とは、違いブランのコートを着て白のマフラーを巻いている。そして、手には何かが入っているビニール袋を持っていた。
「ごめん、遅くなっちゃって。」
彼女は、頭を下げながら僕に言った。
「全然大丈夫ですよ。本読んでいたし。」
「ありがとう。じゃあ行こっか。」
そう言って彼女は、歩き出した。彼女がどこに向かうかなんてわからない。ただ後ろをついていくだけだ。数分くらい歩いていると、墓場が見えた。1人は、誰1人いなかった。彼女は、そこに入り、(田辺家之墓)そう書かれている所に止まった。
「ごめんね、何も言わずに連れてきちゃって。」
彼女は、持っていたビニール袋から、花を取り出し、墓を綺麗にし始めた。
「全然大丈夫ですよ。それよりこの墓って、」
「うん、私の彼氏の墓。」
彼女は、そう口にした。何故か僕には、それが寂しく感じた。
「3年前だったかな。今日が彼の命日、事故で子供を助けて亡くなったの。」
後ろから見ていたから分からなかったけど、彼女の声は少し鼻声になっている気がした。
「私が、殺したようなもんなんだよね。私がクリスマスにデートしよなんて言ったから。」
彼女は、線香に火をつけた。
「彼は、速くに両親を亡くしたから、祖父母に育てられたんだ。足が悪いから、私がいつも変わりに墓参りに行くんだ。」
「毎年、1人で、行くんですか。」
彼女は、作り笑顔を見せながら僕に言った。
「私が、誰かと関わったらその人を不幸にさせてしまう。そんな気がするから。」
「じゃあなんで、今年は、僕を誘ったんですか。」
彼女は、作業をしていた手を止めた。
「本当は、誰かと関わりたいそう思っているんじゃないんですか。」
彼女は、僕のほうに顔を向けた。目に溜めていた涙を流した。
「本当は、いろんな人と関わりたい。一緒にいつも一緒にいたい。」
僕は、彼女の頬に流れた涙を拭き取った。そして彼女を覆い被せるように抱いた。
「じゃあその不幸を僕に分けてください。そして、毎年の様に一緒に過ごしましょう。大丈夫です。僕は、貴方の前から急に消えたりは、しません。」
言った後に僕は、気がついた。結構やばい事をしているんでは、ないのかと。
「すみません、急に抱いたりして。すぐに離れるので、」
「もう少し、」
少し間が空いてから言った。
「もう少し、このままでいさせてください。」
彼女は、そう僕から離れなかった。
田辺さんへ
彼女の傷は癒えることは、ないだろう。だけど、僕は、その傷を少しでも癒す事ができるのかもしれない。それは、わからない。貴方を超えられるかは、わからない。だけど、少しでも貴方の代わりになって、彼女を支えられればと思う。
目を開けると彼女が言った。
「鈴木君、行こっか。」
「はい、若井さん。どこでもついていきます。」
彼女を守っていきます。
夢から覚める前に/如月 紅葉
夢が覚める前に、君に言いたい事がある。
「あのさ、よく近所の公園で遊んだよね。」
「そうだな。」
「あのさ、私あの時から」
そう言いかけた時、
「あって、僕から言わせて、」
彼がそう言った。
「好きだよ」
彼の口からそう出た。
「だから、長生きしてね。」
かれがそう言うと、夢から覚めた。
隣のベランダに顔を出す。
いつもなら彼が隣に居るのに、今日も明日も明後日もいない。
「なんで、彼が事故にあうんだろう。」
私は、近所の大きい病院に行った。
100号室の扉を開けて、彼のベッドの隣に座る。
そこには、眠っている彼が居る。
2年前に事故あってから、一度も起きていない。
彼は,体に包帯を巻き全身ボロボロで奇跡的に生きているだけで、いつどうなってもおかしくない。
今日は、彼のベッドの隣の机にある花を変えにきた。
枯れたカスミソウの花を取り出して、リナリアの花を入れた。
そして、彼が聞こえているはずもない話をする。
「今日、夢に貴方が出てきたんだよ。」
彼は、何も反応しない。
私の目からは、涙が出た。
「ねえ、おきてよ。貴方が居ない世界なんて私は耐えられない。」
私の涙が、彼の頬にかかった。
すると、彼の目がピクピクしたのが見えた。
彼が起きた。
私は、自分の涙を拭って無理やり笑顔を作った。
「おはよう。」
私が最初に彼に言った。
その後、先生を呼んで、様子を見てもらった。
数ヶ月は、リハビリが必要だということみたいだ。
私は、また彼と少しずつ生活していけたらと思う。
2年、そんな長い夢から彼は、目が覚めた。
キーホルダー/如月 紅葉
学校からの帰り道、隣の席の田中くんと一緒に帰る事になった。田中くんとは、よく喋るだけの仲だ。だけど、私は少し彼のことが気になっている。今日は、居残りがあり、色々あって一緒に帰る事になった。
「仲田さん、そのキーホルダーってさ、」
田中くんが指を刺しながら言った。そのキーホルダーは、私の好きなアニメのキャラクター形をしたものだ。私は、キーホルダーを触りながら言った。
「ああ、これ。この前アニメイトで買ったんだ。」
「仲田さんって、アニメ好きなイメージとかなかった。」
「うん、よく言われる。」
私は、少し照れながら言った。田中くんは、少し考えてから言った。
「僕も、そのアニメ好きなんだ。」
「へぇー、そんなイメージなかった。」
田中くんは、歩くのをやめた。それと同時に私も止まった。
「よかったら、今度の休日。◯◯遊園地に行かない?そのアニメのコラボやっているし、、、」
私は、少し興奮した。色々の意味は、あるけれど、田中くんが、誘ってくれたのが嬉しかった。その後は、アニメの話で盛り上がったことを覚えている。今でも、思い出すと、恥ずかしいような、恥ずかしくないような。そんな思い出だ。
窓から日が差している。私は、見ていたアルバムを片付けて家を出た。今日は、夫の晃を駅まで迎えに行こうと思う。そして帰り道に、2人の好きなアニメの映画に行く約束をしようと思っている。私は、家の鍵を閉めて家を出た。家の表式の苗字には、田中という文字が書いてある。