如月 紅葉

Open App

夢から覚める前に/如月 紅葉
夢が覚める前に、君に言いたい事がある。

「あのさ、よく近所の公園で遊んだよね。」

「そうだな。」

「あのさ、私あの時から」

そう言いかけた時、

「あって、僕から言わせて、」

彼がそう言った。

「好きだよ」

彼の口からそう出た。

「だから、長生きしてね。」

かれがそう言うと、夢から覚めた。

隣のベランダに顔を出す。

いつもなら彼が隣に居るのに、今日も明日も明後日もいない。

「なんで、彼が事故にあうんだろう。」


私は、近所の大きい病院に行った。

100号室の扉を開けて、彼のベッドの隣に座る。

そこには、眠っている彼が居る。

2年前に事故あってから、一度も起きていない。

彼は,体に包帯を巻き全身ボロボロで奇跡的に生きているだけで、いつどうなってもおかしくない。

今日は、彼のベッドの隣の机にある花を変えにきた。

枯れたカスミソウの花を取り出して、リナリアの花を入れた。

そして、彼が聞こえているはずもない話をする。

「今日、夢に貴方が出てきたんだよ。」

彼は、何も反応しない。

私の目からは、涙が出た。

「ねえ、おきてよ。貴方が居ない世界なんて私は耐えられない。」

私の涙が、彼の頬にかかった。

すると、彼の目がピクピクしたのが見えた。

彼が起きた。

私は、自分の涙を拭って無理やり笑顔を作った。

「おはよう。」

私が最初に彼に言った。


その後、先生を呼んで、様子を見てもらった。

数ヶ月は、リハビリが必要だということみたいだ。

私は、また彼と少しずつ生活していけたらと思う。

2年、そんな長い夢から彼は、目が覚めた。

3/21/2026, 5:01:18 AM