Nonexistent person

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8/4/2025, 11:29:45 AM

ただいま、夏。

今年もあの季節がやってくる。
潮の匂いが鼻をくすぐり目の前の青を駆け抜ける清々しい季節。
何時もの道を抜ければ前までは君がいて私も泡が弾けるように肩を揺らして大きく笑いながら遊んだあの海がある。
沖縄やハワイ何かみたいな透明感は持ち合わせてないけど絵の具をパレットからそのまま落としたような深くて濃い青が私を癒してくれた。そんな場所。
だけど違う。
そこは癒しだけど癒しじゃない。
癒してくれる優しさと何かが消える表裏一体な関係で存在していたって思い知ったから。
君が消えた日に鳴ってたあの音が私の脳裏に突き刺さって海月の毒の様に今でもずっとトラウマという形でしがみついている。
行きたくないのに行けば君が見える気がして、何時かまた何処からか顔を出して前みたいに笑いながら何時も通りに話してくれる気がしてずっとずっと囚われている。
誰もいない砂浜、街灯と初夏の星に照らされた綺麗な光の糸を紡ぐ海には今日もまたあの音が鳴る。
招かれざる客が此方を覗いて笑っているから。

8/3/2025, 11:49:21 AM

ぬるい炭酸と無口な君

泡が弾けた。まるで花火の様だ。
儚く散る線香花火にそっくりでそれはすぐに空気に溶けてしまう。
君からも僕はこう映っているのかな。
何でもいいから覚えて欲しい。
そんなことを考えてもきっと無駄だ。
若いうちに認知症になって僕の事なんて何も知らないんだから。
もう他人なのに僕の脳裏には君が住み着いていて声も忘れたはずなのに話しかけてくれる君が愛おしくて、今はいない明るい君をずっと夢見てた。
人魚姫でさえ好きな人の為に泡になれたのに僕はそんな覚悟すら決められなくて君の中の僕の延命処置を続ける為だけに毎日話しかけているようなものなんだ。
もう口も開かないでこちらを硝子玉の様な綺麗な目で見つめる君には分からないと思うけれど僕は君が好きだった。
本当に、本当に好きだった。
そんな事を思い返しながらラムネ瓶に口を付けた。
それは君の体温のようにぬるくてそれが妙に気持ち悪くて優しい味がした。
もう戻らない日々に。
藍色に散る夏の風物詩に意識を投げながらそう思った

8/2/2025, 5:01:43 PM

波に攫われた手紙

私だけが知る秘密
小さな瓶に想いを詰めて遠くの誰かに届けばいいのに
いつも返ってくるのは泡と藻屑とシーグラス
なんでかな
何時もより空が暑くて青に濁ってて手を伸ばせば触れそうなのに綺麗なはずの空が汚く見えて触れたくない
私は何時までここにいればいいのかな
私は何がしたかったのかな
見失いたくないな
攫われてもいいから想いを詰めて波に流したら
いつか誰かに届くかな
でもその時に私はいるのかな
私も手紙も攫われて消えたりしてないかな
私が居なくてもお返事が欲しいな
だって誰かに気づいてほしいもの
無駄なことだってわかってるのにね
私もきっと