言い出せなかった「」
ずっと話したかったんだ
無くした僕の夜について
多分、悲しい話じゃない
だけど寂しくなるんだ
それでもいいなら
部屋の間接照明で息をして
冷めきった珈琲を乾いた喉に流し込む
眠れない脳みそを導くためにレコードに針を落としてみる
そしたらすっと世界に溶けていけるような気がしたんだ
ずっと、ずっと待っていたんだ
明け方の陽も決して消えない暦も
今夜今日のこの夜に沈んでも
それは決して変わらないから
きっと街灯が街角を照らす温もりが
昨日と違って柔らかく見えたら
目を閉じて眠りにつける気がしたんだ
ずっと聞きたかった
明け方の空に煌めく笑い声を
結局は今夜今日のこの藍色も
崩れ落ちてしまうけれど
いつも通り間接照明に意識が泳ぐ
意味もないのに目を伏せて苦しむ
いつの日か眠れなくなってしまった脳みそに
冷めた珈琲を叩き込む
針を落としたレコードに
無性に溢れて止まらない涙が零れたら
情けない僕をまた笑ってくれ
きっと夜景の影に潜む寂しさを照らす
そんな光が昨日よりも暖かく感じられたら
僕の寂しさも救われて消える気がした
そうだ僕は
言いたかったことがある
ねぇ
今度はちゃんと聞いてくれるかな
今までずっと
本当は昔からずっと
「 」
select love
selectしてください。
金?
愛?
どちらも答えは無いはずよ
ねぇねぇ知ってる?
何を知ってる?
愛を選んだ少女の末路
想い人からの愛が欲しくてお金を貢いで侍らせたって
でもでもそれは幻想だったの
愛のために片方捨てた
酷い末路よ愛の少女
まぁ彼女がいいならいいんじゃない?
ねぇねぇ知ってる?
今度は何かな?
金を選んだ少年の末路
愛より金がひたすら欲しくて生まれから全てやり直し!
でもでも親からも見て貰えなくて
果てには世界からも消えちゃった
悲しい末路ね金の少年
まぁ彼がいないかいるかなんて関係ないじゃない?
ねぇねぇ知ってる?少女のその後
知ってる知ってる結ばれたって!
彼女のカタチで愛を見つけたの
真実の愛は存在しないけど運命的な出会いはあるってさ
恋する少女の間ではその手の噂で話は溢れる
まるで自分たちが生み出したかのように自慢気に語る
3番ホームのドアの締まり口君の手が消えるその時に
自分は静かに恋をした
叶えられない。だからselect
愛か金か。絶望か。
私の答えは決まらないからまだこの暗い路地を彷徨うの
ずっとずっと変わらない
ずっとずっと変わらない
ページを捲る
まっさら記憶の1ページ
純白の紙に滲む旅路
奇跡の軌跡がそこにある
筆跡を残して何ページ
今日もまた1つ捲らなきゃ
それの反復作業が脳にプログラムされているから
数多の星の中からここを選んで何ページ
誰かに決められる色よりも自分で決める方が綺麗だから
奇跡を紡いで彩って
水彩世界が目の前に広まる
朧月さえ鮮明に移るほど不明確に
未来や夢さえ一期一会で
選んで彩る何ページ
捲る感覚が愛おしい
これだからやめられないのだ
嗚呼、また朝だ
夏の忘れ物を探しに
ミンミンミンミン
蝉の声
パチパチパチパチ
花火の声
ドーンパラパラ
咲き誇る
すぐに消えて
また合唱
ミンミンミンミン
蝉の声
パチパチ花火はもういない
ドーンパラパラまた散って
火薬が空に煌めいた
8月31日、午後5時