言い出せなかった「」
ずっと話したかったんだ
無くした僕の夜について
多分、悲しい話じゃない
だけど寂しくなるんだ
それでもいいなら
部屋の間接照明で息をして
冷めきった珈琲を乾いた喉に流し込む
眠れない脳みそを導くためにレコードに針を落としてみる
そしたらすっと世界に溶けていけるような気がしたんだ
ずっと、ずっと待っていたんだ
明け方の陽も決して消えない暦も
今夜今日のこの夜に沈んでも
それは決して変わらないから
きっと街灯が街角を照らす温もりが
昨日と違って柔らかく見えたら
目を閉じて眠りにつける気がしたんだ
ずっと聞きたかった
明け方の空に煌めく笑い声を
結局は今夜今日のこの藍色も
崩れ落ちてしまうけれど
いつも通り間接照明に意識が泳ぐ
意味もないのに目を伏せて苦しむ
いつの日か眠れなくなってしまった脳みそに
冷めた珈琲を叩き込む
針を落としたレコードに
無性に溢れて止まらない涙が零れたら
情けない僕をまた笑ってくれ
きっと夜景の影に潜む寂しさを照らす
そんな光が昨日よりも暖かく感じられたら
僕の寂しさも救われて消える気がした
そうだ僕は
言いたかったことがある
ねぇ
今度はちゃんと聞いてくれるかな
今までずっと
本当は昔からずっと
「 」
9/4/2025, 2:08:58 PM