DOES 1-500

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1/24/2024, 2:24:16 PM

 逆光で影の落ちた顔は、表情が全くわからない。わかるのは、相手がじいとこちらを見据えている事だけだった。
 赤い日が、炎のように世界を照らす。それはいっそ終末のようで、安っぽい惨劇のようにさえ思えた。
「どうかしたのか」
 気遣いの言葉も、どこか薄ら寒い。何と言うべきか、口を僅かに開いて、それから、小さく首を振った。
「そうか」
 帰ろう。そう言われて、足が竦む。

 焼けついた影ばかり、どこに帰ると云うのだろう。

1/15/2024, 1:25:43 PM

 この世界はもう終わる。見ての通りに。
 
 誰も世界が終わるなんて思っちゃいなかった。よくある下らない終末論。取るに足らない陰謀論。空想にすらなりやしない、ただの与太話だと。だが現実はどうだ。この有様だ、笑えるだろ?
 ……墓標なんざいらねえと思ってたんだが、何も残らねえってのも寂しいもんだな。世界が終わるってんだから、誰も彼もそうなんだろうけどさ。神様ってのが本当にいるんなら、もしかしたら、見てんのかも知れねえけど。ああクソ、祈りの一節も出てきやしねえ。

 呆気ないもんだ。次はもっと、いい世界に――――

1/14/2024, 10:45:44 AM

 どうして、と何度問おうとも、答えは出ないまま。相手は笑いながら、そんなもの、お前が一番わかっているだろう、と嘯く。
 わかると思うのか。――わからないフリだろう?
 わからないと言っている。――わかりたくないだけさ。
 ……どうしてだ。
 堂々巡りを始めた問いに、相手はまた笑った。嘲るような顔をして。
 いい加減やめろ、見苦しい。理由なんて大した意味を持たないだろう? 残るのは結果だけだ。理由も、過程も、行動も、お前にしかわからない。お前しか知らない。何も残らない。今ここで答え合わせをしたがる理由の方が、余程わからないんだがね。
 表情が歪む。

 答えを墓から掘り起こせと言うのか。

 そうだ、と言わんばかりに、最期の呼吸が僅かに漏れた。

4/19/2023, 12:44:57 PM

 もしも未来を見れるなら、見る気はあるか?
 そんな戯言を、あまりにも場違いな質問を、間髪を容れずに一蹴した。
 下らない。実に下らない。未来なんてものは不確定で、今、それを見たとして、一体、何の意味がある? 今日の存在すら危ういこの場所で、昨日の証明すらままならないこの世界で、未だ来ぬ明日に恋焦がれて何を成せるという。
 含んだ嘲笑を感じ取ったのか、問いかけの主は表情を歪ませた。
 恐怖を知らないのか、愚か者め。
 今度こそ、声を上げて嗤った。恐怖を見捨てた愚か者は、お前の方だろう! それすら気づけず、そんな無駄な問いを投げたのか!

 だからこそさ、じゃなきゃ未来なんて掴めやしない。

4/11/2023, 1:12:41 PM

 言葉にできない、と、甘んじていたのだろう。それに気づいたときには、もう、何もかもが遅かった。
 言葉は失われて形を成さない。
 過去は忘れ去られて思い出せない。
 感情は塗りつぶされてごちゃ混ぜのまま。
 相手すらも、もう。

 今際の際に、乾いた笑いがこぼれ落ちた。来世を願ったのは、最初で最後、最期の、最後。

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