DOES 1-500

Open App

 逆光で影の落ちた顔は、表情が全くわからない。わかるのは、相手がじいとこちらを見据えている事だけだった。
 赤い日が、炎のように世界を照らす。それはいっそ終末のようで、安っぽい惨劇のようにさえ思えた。
「どうかしたのか」
 気遣いの言葉も、どこか薄ら寒い。何と言うべきか、口を僅かに開いて、それから、小さく首を振った。
「そうか」
 帰ろう。そう言われて、足が竦む。

 焼けついた影ばかり、どこに帰ると云うのだろう。

1/24/2024, 2:24:16 PM