あなたとわたし
ちがう存在なのに
同じように感じてしまう
あなたの痛み
悲しみ 未来
自分のことのように揺れ動いて
しんどい
でも…震えるほど幸福
なの、かも。
(あなたとわたし)
くるんくるん
裏返し表返し
鮮やかな螺旋
どこまで行くのか
目眩とともに触れる光は
期待か絶望か
流されて 力を抜いて
そう誘うような夏の残り火
(裏返し)
それを手に入れた者は幸運をつかむと言う。
初夏の風に乗り、ついーっと流れてきたそのフワフワをわたしは素知らぬ振りで追いかけ、今、目の前の茂みにとらえた。
人の手を逃れるように植込みの湿った土に着地した球体は、今にもまた飛び立ちそうに小さく揺れている。
さわらないで
つかまえないで
強烈な誘引力を出しながらも、同時に警告のような神託のような凛とした想念を感じた気がして、わたしは手を伸ばすことを躊躇する。しかし一時の後、その白い毛玉を大事に紙袋にしまい帰路についた。
途中、我慢しきれずそっと袋を開けてみると、あんなに完全だったはずの球体はすっかりばらばらになっていて、わたしは不吉な予感と後悔にため息を落とした。
家にたどり着くと、ばらばらの綿毛を拾い集めベランダに立つ。
ゆっくりと手の平を開くと、それはあっという間に風にさらわれ、空高く舞い上がっていった。
(神様が舞い降りてきて、こう言った。)
風は少し収まった
昼にはまだ遠い街角で
うっかりと水たまりを踏まないよう
目線はいつも以上に下を向く
ふと違和感に耳をすまし
雨が降っていても蝉は鳴くと知る
細かい雨音と混ざり合う蝉しぐれ
脚に張りついたパンツの
不快と痛快を同時に味わいながら
ただ足を交互に出す
決められた仕事のように
宿命のように 生真面目に
(鳥かご)
あなたが気まぐれに結んだキーホルダー
目に入るたび胸が音を立てて
そのうちぎゅっと痛んで
いつのまに失くしてしまった時は
キリキリさびしかったけど
それ以上にほっとしたんだ
眩しくてよく見えない
夢のような白光
守りたいなんて幼すぎる背伸びに
あなたはほんとに気づいてなかったのかな
(友情)