#17 雨が一気に降ってやんだ。
朝早く家を出ると、大きな虹がかかっていた。
雨が降ったあと、すぐに晴れたからだろう。
すごく綺麗だった。
今日はいいことあるかも、思って一歩を踏み出した。
"沢山の人生がある場所"には、たくさんの友達がいる。
みんなと仲が良くて、よく話していた。
自分が隠していることは、誰も知らないから。
でも、あの人、"彼"だけ苦しんでいるところを見られてしまっていた。隠している秘密が気づかれてしまうかもしれない。
だけど、彼だけはいい気がした。彼が声をかけてくれたことで、心が救われた。彼こ前なら、もう一人の自分を演じなくてもいいかも、と少しだけ思ってしまった。
「大丈夫?」その声も、言葉も、優しくて、でも、何かを抱えているようにも見えた………。
___友達
#16 ちゃんと朝が来た。
朝日が昇る日、ベットから起き上がることができた。
少し前、苦しくなった時、あの人が声をかけてくれた。
いつも孤独で辛い思いをしていたからこそ、
初めて心配してくれたことが嬉しかった。
心の中でずっと助けを求めていたのかもしれない。
でも、次の日、その次の日もいつもとは何も変わらないただのクラスメイトだった。
よく話すわけでもなく、別に話さないわけでもない。
最近、あの日から一年が経って、痛みが強く、時間も増えてきた。だから、孤独で苦しむ時、その人のことを思い出す。
朝が来て、その日が始まるけど、その人に助けてほしい。
「大丈夫?」その一言だけが、心のどこかでは嬉しくて、平気なふりをして逃げてしまって、寂しいことに気づいたから。
行かないで。……苦しくて……助けてほしい。
そう思ってしまう。何も関係ないのに。
何も言わないから、わからないのに。
その人、"彼"が気になってしまう。
苦しみの中の光。
それでも、何も変わらない日々は続いていく。
いつかは、終わってしまうけど。
___行かないで
#15 どこまでも続く青い空。眩しくて、輝いて見えた。
透き通っている。
自分の気持ちは、地球の自然と同じなのかもしれない。
素敵な姿もあれば、荒々しい姿、恐ろしい姿だって見せる。
今日の空みたいな心を持ちたい。
雲も少なくて、悩みや迷いもないように思える。
毎日、心がモヤモヤしてどこか苦しいから。
どうにもできないのかもしれないけど、
できる限り辛い現実は忘れたいから!!
綺麗さっぱり、晴れたいなぁ。
明日こそ、前向く。
必ず、明日が来ますように。
___どこまでも続く青い空。
#14 ベットから起き上がる朝。
いつものように目覚めている朝は、本当は当たり前のことではない。当たり前だと思っている事こそ、特別だということに世の中のほとんどの人々は気づいていないのだろう。
今日は、休みだ。
最近は毎日忙しく、オフの日なんてなかった。
やっと休みだし、どこかに出かけようと、服を選ぶ。
そろそろ、衣替えもしないとなぁ。
そう思いながら、鏡の前で服をあわせていた。
選び終わると、服を脱ぐ。
いつも必ずあの傷を見ないといけない。
何気なく、着替えるときは、時々、手が止まる。
目を背けたくて思い出さないようにしているのに。
ため息をついて、すぐに手を動かした。
「今日は、ありのまんまの自分で楽しもう」一人呟いた。
___衣替え
#13 空一面雲で囲まれた暗い夜空。
ただ1人。苦しんでいるところを見られたその人に、一瞬涙を見せそうだったけど、必死に堪えて、その場を離れた。
笑顔をつくりながらも、目は潤んでいたと思う。
「大丈夫…だよ」そう言って走ってたけど。
帰ってからも、ずっと苦しかった。
秘密に近づいてしまうことを知られてしまったし、苦しんでいるところも初めて見られた。
だけど、心のどこかでは安心していたから。
隠していたのに、その人ならよかった。
気づかれかけて、嬉しかった。
自分のベットで声が枯れるまで泣いた。
1年前のあの日から一度も泣かなかった。
強がって、平気なふりをしてきた。
弱くならないように笑って、忘れて、明るくして。
思い出せば思い出すほど、悲しくて、今までずっと溜まっていた思いを全て吐き出していた。
___声が枯れるまで