#13 空一面雲で囲まれた暗い夜空。
ただ1人。苦しんでいるところを見られたその人に、一瞬涙を見せそうだったけど、必死に堪えて、その場を離れた。
笑顔をつくりながらも、目は潤んでいたと思う。
「大丈夫…だよ」そう言って走ってたけど。
帰ってからも、ずっと苦しかった。
秘密に近づいてしまうことを知られてしまったし、苦しんでいるところも初めて見られた。
だけど、心のどこかでは安心していたから。
隠していたのに、その人ならよかった。
気づかれかけて、嬉しかった。
自分のベットで声が枯れるまで泣いた。
1年前のあの日から一度も泣かなかった。
強がって、平気なふりをしてきた。
弱くならないように笑って、忘れて、明るくして。
思い出せば思い出すほど、悲しくて、今までずっと溜まっていた思いを全て吐き出していた。
___声が枯れるまで
10/21/2022, 10:54:04 AM