Noir

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5/25/2024, 1:52:30 AM

あの頃の私へ(物語じゃないです)

小学校低学年までは自分がみんなを引っ張っていっていると思っていたね。自分が引っ張らないと…という気持ちは嫌ではなかったよね。
でも、ある時気づいたんだよね。引っ張っていたんじゃなくてみんな自分で歩いていて、その先頭付近に自分がいるだけだと。
あのときはショックだったよね。
自分の存在意義、存在価値が分からなくなって…
人との関わり方が分からなくなって…
いつしか無意識に仮面をつけるようになって…
それが当たり前になって…くるしくなくなって…
いつしか自分の本当が分からなくなって……
難しいよね人間関係って……
でもこれが自分なんだってこれでいんだって今では思える。

5/23/2024, 12:22:00 PM

逃れられない

「今夜は、月がキレイですね」
その声に息が詰まった。なんで、どうして、そんな考えが全身を巡る。なんで、なんで、なんで………私逃げてきたのに……

私の彼氏は愛が重い。100人中100にんがそう言うほど、誰もが認める愛重彼氏だ。そんなことを知らなかった私は彼からの告白にふたつ返事で了承した。
たまに教室の関係ですれ違うことがあって、一瞬だったけど、気になってはいたし……。
そう思い、付き合って2年。
さすがにもう無理。そう思った私は彼から逃げることにした。彼氏が大学から帰ってくる前に友達の家に避難!準備もとっても入念にし、決行の日がきた。別れ理由や最後の挨拶もろもろはすべて手紙に書いて、テーブルの上に置いていた。
「じゃあね。さよなら。」
そう言い家の鍵をしめ、ポストに入れてマンションを出た。友達全面協力の元、友達の家まで車で送ってもらえることになった。
友達の家の物は貸して貰えるらしく、私は服だけ持っていった。ありがたい話だ。
その日の夜、私は夜風に当たりたくて、散歩に出かけた。「月がキレイ。」無意識そう口にしてしまうほど今日の月はキレイな三日月だった。彼が告白してきた夜もこんなキレイな三日月だったなぁと過去の思い出に想いをはせる。
それは終わったんだ。彼の思い出に蓋をする。そのときだった。
「今夜は、月がキレイですね」
私の隣にきた男が控えめに言った。
「なんで…」その声は震えていた。
「言ったじゃないか。」「ずっと君を離さないってね♡」の言葉に人工的な不快、恐怖感と本能の嬉しさがあった。
あぁ、やっぱり私は彼から逃れられないんだ。
やっぱり、私は彼にハマっているんだ♡

fin

5/22/2024, 12:49:06 PM

また明日

夕日が落ちる頃、遠くに同じ服の人がたくさんいて、会話も遠くから聞こえてくるような、大通りから少しはずれた細道で小さな声が静かに響いていた。
「もぉ、また君いたの?」「行くあては?」
しゃがみながら猫と話しているのは、そう私だ。相手は黒色の猫。目はキレイなアクアブルーで、とても痩せ細っている。
この猫と対面したのは今日で3回目だ。

初めは、小さい声で鳴いていたのに気付き、話しかけたのが始まりだ。話かけたのはただの興味本位だった。
「君、野良?それとも脱走してきたの?」
そう聞いても何も答えない。分かりきっていた答えに、私は黒猫を撫でながら、自分に対して少し笑ってしまった。猫は撫でられていることに余り慣れていないようですぐに逃げてしまった。

そんな事があって次の日。
今日もいつもの大通り外れの細道を通る。
いつもと変わらない何も聞こえない細道……………と思っていたのに今日も違うらしい。
「今日もいたの?」「本当に大丈夫?」
そう話かけてもかえってくるものはなく、昨日と全く同じ状況にまた同じ笑いをおこしてしまう。
ここまでくればうちの子に……とも思ったがすぐにその意見は自分の中で却下された。生き物は興味本位に飼うものではないし、飼い主さんがいれば……と考えてしまい気が気でなくなるからだ。
「ごめんね。」そう言いながら、今日も撫でて逃げていく。明日にはいないだろう。

で、今日だ。これだけ会っていればもう顔見知りだ。私は本気で心配になった。といってもうちの子になるわけではないし、私1人だと何も出来ない。結局思うだけの物事におわった。
こんなに会ってしまうと愛着が出てきてしまうものだ。ただ、何も出来ない。自分の未熟さと無力さを痛感する。むやみに何かをし、それが良くない方向にいってしまったら?もし飼い主さんがいて必死にこの子を探していたら?……「ごめんね。」そんなことを考えた結果これしか言えない私。何も分からない猫。
もしかしたら案外凸凹コンビでよい相性かもしれない。そう思いながら今日も撫でていた。猫は目を細めている。私はなんて無力なんだろう。その顔をみて余計にそう思った。私の欲望を押し付けるのは違う。でも……やっぱり………私の心の中で葛藤が続きながらも私は言ってしまった。「また、明日。」その声は少し震えていて、その声を出した本人は悔しそうで、でも寂しそうに笑っていた。