Ryu

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8/30/2024, 12:29:56 PM

街の雑踏に紛れて、あなたを見失った。
あなただけは特別だったのに。
他の誰かと混ざり合うことなんてないと思ってたのに。
そして、私との繋がりは決して断ち切れないものだったはずなのに。

野良犬のように、あなたの香りを求めて彷徨う。
この街の何処かで、きっとあなたも私を探している。
街行く人の好奇の目に晒されながら、あなたを探して叫び続ける。
あなたと家に帰りたい。

「ツン!」
あなたが私の名前を呼んだ。
人混みをかき分けて、あなたが走ってくる。
ああ、あの重そうな体。見慣れた浴衣姿。
私を探して走り回ったのだろう、汗だくの体から、私にだけ分かるあなたの香りが漂ってくる。

それはあなたの香水。私にとっての。
あなたと再会し、私達はまた繋がれる。
二度と断ち切れることのない、硬い石の縄で。
上野と薩摩を結ぶ、この一本のリードで。

8/29/2024, 1:48:57 PM

ダメだったんだね。
無理に話さなくてもいいよ。
一番ツライのは君だから。
慰めの言葉なんて、何の役にも立たないから。
だから僕も、何も言わないよ。

君が自分の中で、答えを見つけて欲しい。
どうしてダメだったのか。
ダメだったなら、どうしたいのか。
そうするためには、僕の力は必要なのか。
必要ないなら言葉はいらない、ただ…僕のもとに帰ってきてくれれば、それでいい。

ダメだったんだよ。
あんなに頑張ったのに。
こんなにツライとは思わなかった。
君の優しさは、今の僕には棘のように突き刺さるんだ。
だから君は、いつものままでいて。

言葉はいらない、ただ…そこにいてくれるだけでいい。
いつものままで、同じ時を過ごしてくれればいい。
きっと痛みはやがて薄れてゆく。
時間が解決してくれる。
だけど、君がいなくちゃダメなんだ。
いてくれるだけで、世界は居心地のイイ場所に変わるから。

二人ともダメでもさ、美味いラーメンでも食べに行こうよ。
もちろん僕が奢るから。
そしてもう一度、やってみるパワーを手に入れよう。
僕達には生きてる限り、次のチャンスが与えられる。
どうしてもダメなら、諦めて新しいチャレンジに変えてしまったっていい。

言葉はいらないけどね、いつだって心の中では言わせてもらってるよ。
「頑張って、頑張るよ、頑張ろう、僕も君も皆も」

8/28/2024, 11:24:39 AM

油断していた。
隠すべきものを隠す余裕がなかった。
突然扉を開けられ、マゴつくままにすべてを見透かされた。
お手上げだ。

突然の君の訪問。
いや、突撃といってもいい。
もう少し秘密にしておきたかった。
心の扉を閉めたまま、ニヒルな自分を演じていたかったのに。

「君が好きだよ」
そんなセリフを土産に突撃されたら、ニヒルなまんまでいられる訳がない。
そもそも、ニヒルって何なんだ?
心の中は、アヒルみたいに羽をバタバタさせて騒いでる。

扉は全開。だって君ならウェルカム。
もう、ニヒルは捨てました。
今度は、君の心にお邪魔いたします。

「俺も好きです」
のお土産持ってね。

8/27/2024, 1:49:59 PM

君と二人、雨に佇む。
傘はひとつ、滴る水滴に肩は濡れ、雨は止みそうにない。
どこかの軒先で雨宿りを、と思ったが、君はその場を離れなかった。

坂の上の高台。遠くに海が見える。
海の色も空の色も灰色に染まり、気持ちも少しずつ沈んでゆく。
「明日は晴れるかな?」
君がポツリとつぶやいた。
「晴れたら、何がしたい?」
灰色の空を見上げながら、君は少し考えて、
「あなたと、海辺を歩きたい」

雨が上がるまで、一緒にいようと決めた。
そして、雨が上がったら、お別れしようと。
君と海辺を歩く日は、きっと来ないだろう。
遠く、雨に霞む海岸線に、二人が肩を並べて歩く姿を重ねようとしたが、うまくいかなかった。

夏の終わり、挙式を控えた君の横顔は、あの頃と何ら変わっていないのに、僕達の関係はすっかり変わってしまった。
恋人ではなく、大切な人。
過去に恋愛の真似事もしたが、続かなかった二人。
だけど、僕にとって君は今でも、大切な人。

「…このまま、雨が上がらなかったら?」
君が首を傾げて聞く。
「止まない雨はないよ」
つまらない答えで君を遠ざける。

降りしきる雨に、このままずっと、と願いをかければ、何かが変わるのだろうか。
青空の下、海辺を歩く二人の姿がそこにはあるのだろうか。
いや…そんな未来は望んでいない。
僕も…きっと、君も。

夜の手前で、雨は上がった。
僕は君に別れを告げた。
「別に、サヨナラしなくたっていいんじゃない?」
無邪気を装って君が言う。
「いつまでも、子供じゃいられないから」
君に説明できる理由など、僕は持ち合わせていない。
「子供時代とサヨナラするの?」
たぶん、無邪気な頃の二人に戻ってしまうことを恐れてる。
「子供の頃から、大切だった人に」
街の明かりが灯り始めた。

これは、僕の感情の身勝手な暴走だ。
暴走を止めるための身勝手な儀式だ。
君が去った高台で、雨に佇み君の幸せを願う。
愚かな生き物が、君と彼の幸せを願う。

8/26/2024, 1:10:52 PM

以前にも書いたかな。10年日記というアプリ。
2014年から利用してるから、もう今年で10年目になる。
一日も欠かさず、10年間の出来事を描き続けている。

出来事といっても、何も起きない日だってある。
いつものように職場へ向かい、いつものように働いて、仕事を終えて帰宅、眠るまでの家族との時間。
そんな日は、何も起きなかったことを日記に残す。

そうやって、この10年間を文字に変えてきた。
一日に疲れて、寝落ちしてしまった日も、目覚めた後で記憶を頼りに書き記した。
イライラした日や落ち込んだ日に、その詳細を書くことで、さらに自分を追い詰めることも。

だけど、そんな日々の感情をも残すことで、自分という人間が見えてくる…ような気がする。
そして、自分が見えてくれば、それをコントロールすることも出来るようになるんじゃないかと。

つまりは、メンタルの安定、思えば、仕事のストレスにやられ、パニック障害を発症した頃に始めた「書く習慣」が、この日記だった。
2014年のある日、初めて日記に記したのは、

素晴らしい本に出会った。
ゆっくり生きることに決めた。

このたった二行。
出会った本が何だったのかすら覚えていないが、その当時の自分が葛藤し、不安を抱えて生きていたことが分かる。
その記録を残そうと思った。
残すことで、何かを変えられるんじゃないかと思った。

そして今、モノを書くことのパワーに感謝してる。
すべての不安を払拭できた訳ではなく、パニック障害も克服できてはいないが、都度、想いを言葉にすることで、自分の中での整理がつけられているような…気がしてる。

モヤモヤっと形にならない想いを抱えているよりも、ツライならツライと言葉にして文字に変えて、ならさてどーすると議題に上げた方が、目の前の問題がスッキリする。
即座に解決する訳ではないが、解決しようとする気持ちになれる。

初心に返れば、まずはゆっくり生きることだ。
さすがに、10年前の決断は忘れかけていた。
思い出したのは、今回のお題のおかげだな。
やっぱり、「書く習慣」は素晴らしいと再認識。

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