Ryu

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7/24/2024, 11:17:26 AM

大学を卒業してから、三十年以上会っていない友達の訃報を聞いた。
偶然、共通の友人だった人と再会した折に。
少し神妙に、そっか、知らなかったな、と返したものの、特別な感情は湧かなかった。
確か、仲良かったんだけどな。

大学時代、お互いの彼女を連れて、四人で遊んだっけな。
サザンが好きで、湘南に憧れて、中古で買ったポンコツ車で、江の島までドライブした。
帰りのガソリン代が危うくなって、なけなしの1000円分給油して、何とかギリギリで家に辿り着いた。
今はもう、満タン給油が当たり前。

飲み会の後は帰りたくなくて、ガードレールに座って朝まで話し続けた。
話した内容なんか覚えていない。
きっと、今の自分にはどうでもいいこと。
でも、あの頃の自分達にとっては、熱量ハンパない話題だったんだろうな。

俺が彼女にフラれた時は、夜通し男二人でカラオケで歌った。
サザンばっかりだった。
いとしのエリーとか歌っても、歌が下手すぎて何の感情移入も出来なかった。
でも、しんみりすることもなくて、それが逆に良かったんだよな。

ほら、たいした思い出もない。
あいつの顔だって、ぼんやりとしか覚えていない。
だから、そっか、で済ませたんだろうな。

夜、昔の写真を引っ張り出して、あいつの顔を見つけた。
何故だか分からないが、とめどなく涙があふれ出した。

7/23/2024, 2:19:48 PM

花咲いて、枯れる。
その短い時間に、人は花を愛でる。
人も生きて、死んでゆく。
その短く大切な時間に、人は人を愛する。

イイ人生だったなと最後に思えるのは、この時間をいかに、人を愛し人に愛されることに費やせたか、ではないだろうか。
愛するとは、甘い言葉やイチャつくことじゃない。
いや、それもアリだが、家族で夕飯を食べながら今日の出来事を話したり、夕食後に皆でボードゲームを楽しんだり。
家族でなくても、恋人でも友達でもいい。

とにかく誰かと繋がるべきだと思う。
花だって、基本群れて咲く。
皆で咲き誇って、枯れていくんだ。
それはイイ生涯じゃないか。
どうせ咲くなら、一輪より大輪の群生の方が、見応えがある。
見応えのある人生、それはきっと満足できるものになるだろう。

花咲いて、枯れるまでの命を味わおう。
それしか出来ないんだから。
そのために生まれてきたんだから。

7/22/2024, 12:08:51 PM

もしもタイムマシンがあったなら、
優しかったあの人に会いに行きたい。
もう、会うことの出来ないあの人に。

あれから、二十年も経つのか。
あの頃は幸せだった。
優しかったあの人がいて、僕の隣でいつも笑っていた。
でも今はもういない。
これから会うことも叶わない。
こんな試練を与えた神様を呪うことしか出来ない。

今でも夢に見る。
二人で旅行に行ったね。
買い物をしたり、映画を観たり。
幸せな夢のすべてに君がいた。

楽しい夢の途中で叩き起こされ、掃除の邪魔だと部屋を追い出される。
旅行も行かずテレビの前を陣取り、お菓子を食べながら面影を消してゆく。
買い物も行かずすべて私に託して、映画より昼のメロドラマにハマっている。

もしもタイムマシンがあったなら、
優しかったあの人に会いに行きたい。
二十年前の妻に。こんな女性になる前の君に。

7/21/2024, 2:46:47 PM

今、一番欲しいもの。
名声…はいらん。
賞賛…も欲しくない。
そっとしておいて、欲しい。
結局世の中は、上げて、落とす。
ならば、底辺にいるのも、悪くない。

底辺なりに、欲しいもの。
それは、愛だ。
愛は、頑張れば、タダで手に入る。
自分も愛を与えれば、その愛が歪んでいない限り、それなりに返ってくる。
お金でプレゼントを買わなくても、心さえ通じ合えば。

これが、人間ならではの欲望。
一番欲しいもの。
だけど、欲望のままに求めても、きっと心は通じ合わない。
一方通行になる。
お金やモノで何とかしようとする。
本当に、そこに愛はあるんか?って、感じ。

目に見えないからこそ、伝わらない。
だからといって、お金やモノでは勘繰られる。
ならば、行動か。
ウザがられるか。
底辺だからな。
でも、愛が欲しいから、やるしかないじゃないか。

行動のひとつ、言葉だ。
愛を与えるのも受け取るのも、言葉ひとつで可能になる。
今、一番欲しいものは、言葉で手に入る。
だから、本当に今一番欲しいものは文才かもしれない。
読み直せば、こんな拙い文章を書き連ねるものでなく。

ウザがられるのは覚悟の上だ。
愛を言葉で伝えよう。世界中の人々に。
そのための便利なツールだってあるじゃないか。
底辺だって使える素晴らしい世の中だから。
誹謗中傷や罵詈雑言を、すべて愛の言葉に変えて。

7/20/2024, 3:47:51 PM

私の名前は、「ラヴスクエイマス・フライジャー」
ニューヨークの片隅でホットドッグを売っている。
売上はまあまあ、今では常連客もついたので何とかやっていけそうだ。

それにしても、最近の街は物騒で、今朝も2ブロックほど離れた路地裏で銃撃戦があったらしい。
しかも、若者同士の争いで、中には入学したばかりの大学生もいたと言うから世も末だ。
まあ、その大学の学生にはお得意様も多いから、撃たれて死んだりしないで欲しい。

一昨日の夜かな、私が店を出している路地の向かいのビルで、ゴースト騒ぎがあったそうだ。
そのビルで働く客の一人から聞いた。
なんでも、警備員が夜見回りをしていたら、真っ暗なオフィスで一人PCを使っている女がいて、よく見るとその女は全裸だったらしい。

驚いて警備員が近付くと、甲高い悲鳴とともにオフィスの窓が次々と割れて、その破片が警備員に降り注いだとか。
朝、血だらけで倒れている警備員が発見されたが、命に別状はなく、本人の口から噂が広まって、今職場はこの話で持ちきりだとか。

見上げると、確かに向かいのビルの4階の窓がすべて割られている。
あながち作り話という訳でもなさそうだが…その警備員もウチの店の常連で、よくホットドックを食べながら大ボラを吹いている。
命を危険にさらしてまで人々の話題をかっさらうのが、ニューヨーカー魂とでも、いうのだろうか。

まあ、こんな感じでニューヨークライフを送っている私、「ラヴスクエイマス・フライジャー」だが、この名前は、今回のお話に特に関係はない。
ただ、言ってみただけだ。

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