Ryu

Open App

私の名前は、「ラヴスクエイマス・フライジャー」
ニューヨークの片隅でホットドッグを売っている。
売上はまあまあ、今では常連客もついたので何とかやっていけそうだ。

それにしても、最近の街は物騒で、今朝も2ブロックほど離れた路地裏で銃撃戦があったらしい。
しかも、若者同士の争いで、中には入学したばかりの大学生もいたと言うから世も末だ。
まあ、その大学の学生にはお得意様も多いから、撃たれて死んだりしないで欲しい。

一昨日の夜かな、私が店を出している路地の向かいのビルで、ゴースト騒ぎがあったそうだ。
そのビルで働く客の一人から聞いた。
なんでも、警備員が夜見回りをしていたら、真っ暗なオフィスで一人PCを使っている女がいて、よく見るとその女は全裸だったらしい。

驚いて警備員が近付くと、甲高い悲鳴とともにオフィスの窓が次々と割れて、その破片が警備員に降り注いだとか。
朝、血だらけで倒れている警備員が発見されたが、命に別状はなく、本人の口から噂が広まって、今職場はこの話で持ちきりだとか。

見上げると、確かに向かいのビルの4階の窓がすべて割られている。
あながち作り話という訳でもなさそうだが…その警備員もウチの店の常連で、よくホットドックを食べながら大ボラを吹いている。
命を危険にさらしてまで人々の話題をかっさらうのが、ニューヨーカー魂とでも、いうのだろうか。

まあ、こんな感じでニューヨークライフを送っている私、「ラヴスクエイマス・フライジャー」だが、この名前は、今回のお話に特に関係はない。
ただ、言ってみただけだ。

7/20/2024, 3:47:51 PM