Ryu

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2/14/2024, 12:46:11 PM

毎年、浮足立ってたな。前年の惨敗も忘れて。
しなくてもいい期待を胸に、万が一の逆転ホームランを信じて。
そして踏みにじられるプライド。人生の厳しさを噛みしめる。
良くないよ、あーゆーイベント。(一部の)青少年の健全たる成長を妨げる。

バレンタインさんが尽力したのは、結ばれてるカップルの結婚を成就させることで、
別に「ねるとん」とか「あいのり」とか「テラスハウス」とか「バチェラー」を流行らせた訳じゃない。
なんでそれがいつの間にか、恋愛の成就に置き換えられたのか。
まあ、バレンタインさんには会ったこともないから、ホントのところは知らんけど。

それでも、いくつかは貰えてたんだっけな。
あれが、異性を恋愛対象として意識した始まりだったのかもしれない。
自分達とはまったく別の、何だかドキドキさせられる存在。
貰ったチョコレートが嬉しくて、机の引き出しにテトリスみたいに並べて、引き出しを開けるたびにニヤついてた。
ゲームを始めたばっかのちっちゃなテトリスだったけど。

まあ今は、家族にもちゃんと貰えないし、職場ではそんな日であることを微塵たりとも思い出さなかった。
でもそれは、血糖値高めの自分には願ったりなことだし、すでにこうして結婚を成就させているのは、バレンタインさんのご利益なのかもしれない。

…まあそれはさておき、今頃、今日一日を思い出して、ほくそ笑んでる人、悔し涙の人、いろいろなんだろうな。
明日は明日の風が吹くから、調子に乗らず落ち込まず、気を取り直して明日を迎えよう。
今日はドキドキしても、明日はフツーの平日なのです。

2/13/2024, 1:25:38 PM

待っててとは言ったものの、さすがに10年は長すぎた。
そのくらいあれば、こんな俺でも成功するチャンスをつかめると盲信してしまった。
あの娘を待たせて、見違えるように立派になって再会しようと目論んだが、人生そう上手くはいかない。
挫折を繰り返して、辛酸を嘗めた。
世の中そんなに甘くないと思い知らされた。

そして3年後、風の噂で、あの娘が結婚したと聞いた。

人生、どうにもならなくなって、詐欺ビジネスに手を染める。
あの手この手で人を騙していくうち、ある男と知り合い、彼が仲間とお金を出し合って起業を計画していることを知る。
聞けば、なかなかの規模の会社を起こそうと、かなりの資金を準備しているらしい。
うまく口車に乗せて、あの手この手のノウハウを駆使して、そのお金を根こそぎ奪い取った。

そして10年後、あの娘と再会を約束した空き地に、俺の名前を冠したビルを建てた。
今さら会えるわけもないと思っていたが、この思い出の場所を失いたくなかった。
あの娘は今頃、どこで何をしているのだろう。

約束の日の朝、出勤すると、
懐かしい後ろ姿がそこにあった。
信じられない思いで、「やあ」と声を掛ける。
我ながら間の抜けた再会の言葉だったが、
振り返ったあの娘は、あの頃と何も変わっていなかった。

その先のことは、修羅場があったりロマンスがあったりだが、それはまた、別のお話。
ただ、このビルを建てた資金のほとんどが、彼女の夫が用意したものだということは、墓場まで持っていくつもり。

2/12/2024, 2:02:17 PM

あなたより早く、人生を終えるかもしれない。
最期の瞬間に、どんな表情を見せてくれるんだろう。
今まで、たくさんの表情を見てきたけど、
お別れのその時は、特別な笑顔で見送って欲しい。

たった二人で、ふたつの命を生み出した。 
産声を上げ、言葉を覚え、成長していく命を。
あなたのおかげで、こんな奇跡を起こすことが出来た。
かけがえのない存在と人生をともにする幸せを与えてくれた。

でもいつか、この幸せにも終わりが来る。
すべてとサヨナラしなきゃいけない時が来る。
悲しいけれど、切ないけれど、
この幸せに出会えない人生を送っていたとしたら、
きっと世の中に希望を見い出す努力もしていなかったと思う。

人はいつだって、誰かを必要としてる。
一人でだって生きていくことは出来るけど、誰かのために生きることは出来ない。
誰かのために生きて、その誰かに見送られる幸せは、
人生の最期に与えられる最高のプレゼントなんじゃないだろうか。

だからこそ、伝えたい。
一緒にいてくれて、ありがとう。
この広い世界で、俺と一緒にいてくれて、ありがとう。
ヒーローでもアイドルでもなく、日々の生活を守ることに精一杯の、ありふれたサラリーマンでしかない俺と一緒にいてくれて、本当にありがとう。

あなたより早く、人生を終えるかもしれない。
最期の瞬間に見せる表情は、
今まで与えてくれた幸せに力いっぱい感謝を込めて、
とびっきりの笑顔でありたい。

2/11/2024, 4:40:19 PM

必ず成功してみせる。
彼はそう言って、あの空き地の片隅で私に約束してくれた。
必ず成功して、君に改めてプロポーズするから、10年後の今日、この場所でまた会おう。

そして彼はいなくなった。
でも、私は知っている。
実力が伴わず夢ばかり見ている人だった。
今回も口先だけで、うまくいくはずがない。
ましてや10年後なんて…本当に信じて待っていてくれると思っているのか。

私は新しい彼氏を作り、3年後に結婚した。
仕事の出来る人だと思っていたが、ギャンブルにのめり込んで家計は火の車だ。
それでも、あの日の約束を信じ続けて10年待つことの愚かさに比べれば、と思い日々を過ごした。

突然夫が、仕事をやめたいと言い出した。
新しい事業を立ち上げて、必ず成功させると。
デジャヴな気がしたが、彼は話を勝手に進め、そして失敗した。
そこからは…話したくもない日々が続いた。

気付けば、10年の月日が経っていた。
約束の日の朝、私はふらりとあの場所へ向かう。
どうするつもりだったのかも分からない。
とにかく、現状から逃げ出したいという気持ちが強かったのだと思う。

あの空き地だった場所には、ビルが建っていた。
10年も経てばこうも変わるのか。
新しく、見上げるような立派なビルだった。
約束の通りにやって来た自分が不意に恥ずかしくなって、足早に立ち去ろうとする。
その時、入り口に掲げられたビルの名前が目に入った。
アルファベットで書かれていたが、それは、10年前に約束した彼の名前だった。

「やあ」
…背後から懐かしい声がした。

その先のことは、修羅場があったりロマンスがあったりだが、それはまた、別のお話。

2/10/2024, 3:18:45 PM

夜の街を車で走ってる時なんかに、窓の外に見える建物に明かりが灯ってて、「ああ、あそこに誰か人がいて、普通に生活してるんだな」と思うと、不思議で仕方なくなったりすること、ない?
自分の人生にまるで関係のないところで人が生きてることが、にわかに信じられないってゆーか。
かなりエゴイストな考え方だと思うけど、人間なんて誰もがみんなエゴイスト。
だって、自分のことしか認識出来ないんだから仕方ないよね。

例えば、イギリスに行ったことがないから、イギリスは本当は存在しないんじゃないか、とか。
いや、もちろん馬鹿げた考え方だとは思うけど、テレビとか写真でしか見たことない訳だから、本当にある!とは言い切れないってのもホントのところ。
捏造かもしれないじゃん。
誰が何のためにそんなことするんだ?って話だけど。

勢いに乗ってもっと言っちゃうと、自分がイギリスに行くってなった時に、イギリスは初めて作られる。
イギリスに行こうとする「自分」がいるから、イギリスが認識されて姿を現す。
そんな考え方…怖っ!って思うけど、普段の生活の中でイギリスのことなんか考えないでいる時、自分にとってイギリスは「無い」んだよな、実際。
独我論とか言うらしいね、これ。

とゆーことは、数ある悩み事も、意識さえしなければ「無い」ってことか。
…まあ、そりゃそーか。
悩み事として意識しなければ、それは悩み事じゃない。
意識しないのが難しいんだけど、イギリスだって消せるんなら、あながち無理な話でもないような気がするな。

誰もがみんな、自分を持って生きてる。
ジェダイでもない限り、他人を操ることは出来ない。
そんな世界で、独我論に則って考えれば、すべては自分の気持ちひとつってこと。
社会や世間を気にし過ぎても意味が無い。
だって、世界は自分を中心に回ってるんだから。
自己中なイメージの強い独我論だけど、そー考えると頼もしく思えるなんてこと…ない?

最後に、今回やたらイギリスを消しちゃったような気がするけど、別にイギリスが嫌いな訳じゃない。
出来たら消えて欲しい国は他にある。
大っぴらには言えないけど、まあ、独我論持った男が支配してるような…ね。

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