Ryu

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1/21/2024, 12:14:35 PM

何も特別じゃない夜。

空から降る大量殺戮兵器に怯え、
無差別に人を殺す兵士達から逃げ惑い、
仲間は裏切り、殺し合い、幼子に明日は来ない。

遠くで鳴り響くサイレン。
火薬の匂いと続く衝撃音。
悪魔の兵器が空を舞い、地を走る、この世界。
今夜も、たくさんの人達を踏み潰して、
何も特別ではない夜が更けてゆく。

ところ変われば、暖かい部屋の食卓を囲むディナー。
子供達は笑い、大人達は語り合い、
明日の休日のプランを立てる。
TDLかTDSか、それとも遠出してUSJか。
家族皆がワクワクする特別な夜だ。

けれどもそこに、命の重さは存在しない。
あるとするなら、経済的な出費の心配か。
命をかけるのか、お金をかけるのか。
人にとってそれは、天秤にかけられるようなものなのか。

戦地の人達に、特別な夜を。
明日の平穏が約束されるような。
幼子が安心して眠れるような。
私達の当たり前を、彼らの当たり前に。

そんなことを考えながら、
いつものように何の変哲もない休日の終わりに、
今日という一日を過ごせたことに感謝して、
この国に生まれたことに感謝して、
家族が無事であることに感謝して、

自由に言葉を紡げたことに感謝して、
それを読んでくれる誰かがいることに感謝して、

さてと、明日の仕事に備えて、
お風呂に入って、あったまったら眠ろうか。

1/20/2024, 2:49:33 PM

所詮、夢の話だ。

死んだはずのアイツから、電話がかかってきた。
「最近、どうしてる?」
どーもこーもない。
お前がいなくなってから、ずっと泣き通しだ。
涙が乾く暇もない。
「夜空の星にはなれなくてさ。深い海の底にいるよ。」
なんでまた。
星になって輝いてるものとばかり。
「俺の分も、幸せになってくれよな。」
電話が切れた。
泣きながら目を覚ました。

双子の兄貴。
片腕を失ったような喪失感。
二人のヨットでいくつもの荒波を制覇した。
セーリング競技の日本代表チームの中でも、
お前はひときわ輝いてた。俺の自慢だった。

死因は、居眠り運転のトラックによる交通事故。
そんなお前が何故、暗い海の底にいるのか。
ヨット界のスターだったお前のことだから、
夜空でひときわ輝いてると思っていたのに。

まあ、所詮、夢の話だ。
深く考えたところで意味もない。
ただ、ひとつ気になっているのは、
「もし俺が先に死んだら、遺灰は大好きな海に撒いてくれ。」
遺言の通りに決行したこと。

このまま、お前の分まで幸せになっていいのかな。
余計なこと言わなければ良かった、なんて、
後悔してたりしないだろうか。

まあ、所詮、夢の話だ。
だけど、ごめん、俺がもし死んでも、
遺灰は海でなく、お墓に納めてもらうようにお願いしておくよ。
俺の大好きだった兄貴が、身をもって教えてくれたことだからね。

まあ、所詮、夢の話だけど。

1/20/2024, 12:23:52 AM

君に会いたくて 会えない時間が苦しくて
想いだけが募る その笑顔が揺れる

君に会いたくて 一人の部屋を飛び出して
君に会いに行く その笑顔が憂う

マンションのエントランスで君を待つ
二人の今までの時間を思い出しながら
少し困った顔の君 走り去る君の背中

そのすべてが愛おしくて
今すぐにでも抱きしめたくて

この想いよ 君へ届け
通報なんかしなくていいから
あふれる想いを受け止めて 僕と一緒に暮らそう

この願いよ 叶い給え
怯えてる君を守ってあげたい
留置場で過ごす一人の夜は 君への想いを増すばかり

こんなに愛しているのに
何故僕達は一緒にいられないのか

最近ね 思いついたんだ
僕達が ずっと一緒にいる方法

君に会いたくて 会うための手段は選ばない
この世界がダメなら あっちの世界があるじゃないか

会いに行くから 待ってて…

1/18/2024, 1:17:24 PM

某月某日、天気は晴れ

 マンションのベランダから猫が入ってきた。
 ニャーと鳴いてすり寄ってくる。
 寒い夜なので、一緒の布団で寝た。

某月某日、天気は晴れ

 家にキャットフードが無かったので、
 味噌汁用の煮干しをあげてみた。
 その後、台所でガサゴソ。
 お気に召さなかったみたいだ。

某月某日、天気は晴れ

 チャミと名付けた。
 名前を呼んだらニャーと鳴いた。
 気に入ったかな。
 なんか、声が低くなった気がする。

某月某日、天気は曇り

 トイレは…どうしてるんだろう?
 猫を飼った経験がなくて、まるで頭が回らなかった。
 時折、扉の閉まる音がする。
 …トイレを流す音も。

某月某日、天気は晴れ

 友達から電話。
 猫を飼い始めたことを話す。
 「ベランダから入ってきたって…あなたんち、4階でしょ?」
 そうだけど。
 猫だったら、そのくらい登ってこられるんじゃないの?

某月某日、天気は小雨

 お風呂に入っていたら、脱衣所の方でガサゴソ。
 ドアを開けてみると、ニャーと鳴く。
 「チャミ、いるの?」
 姿は見えない。まあ、仕方ないか。

某月某日、天気は晴れ

 今日はヘルパーさんが来る。
 朝から家の掃除。
 チャミはどこにいるのかな。
 すぐそばに、気配は感じるんだけど。

 ピンポーン。ヘルパーさんだ。
 目の見えない私のために、
 一週間に一度、食料を運んでくれる。

 玄関のドアを開けると、
 目の前でヘルパーさんの悲鳴が轟いた。

1/17/2024, 9:46:25 PM

さあ歩き出せ 木枯らし吹くこの道を
今日の失敗も明日の心配も
この道を行けば辿り着く我が家で
すべて忘れ去ればいい

さあ歩き出せ 向かうはこの世のユートピア
笑って話して満腹で「いい湯だなー」
至福時間が待っているマイホームで
明日のやる気をチャージする

そして次の朝 サラリーマンは戦場へ
見知らぬ戦友達と電車に揺られて
ファイトだ一発 ニッポンの未来はWoWoWo

お昼を食べたら 次なる敵は手強い睡魔
気になる上司の目をかいくぐって
ゴールは目前さ オッサンの未来はWoWoWo

木枯らしが我が身も枯らす黄昏時
今日の失敗を無きものにしてビルを出る
明日の心配は駅のホームに置き去りにして
さあ歩き出せ 新しい未来へ

ファイトだ一発 ニッポンの未来はWoWoWo
ゴールは目前さ オッサンの未来はWoWoWo

繰り返す日常 帰りは良い良い行くのはツライ
給料は案の定 想像の斜め下
それでも戦うニッポンのオッサンのサラリーマン
さあ歩き出せ 木枯らし吹くこの道を

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