優しくしないで
なんで、なんで、そんなに見るの。
痛い、苦しい、怖い、助けて……
見ないで、見ないで。私を見ないで。
助けて。たすけてよ、兄さま────
*
どうしてそんなに私を見るの?私が変だから?
みんなやってることでしょ。しょうがないでしょ。
結局そうやって、みんな私を見下すのね。
貴方は違うと思ったのに。
でも、見られてもあの恐ろしさはないの。
*
なんで、どうして?
こわくない。暖かい。心地よい。
おかしいじゃない。
その札束、どうするつもり?私まだ、何もしてない。
……初めて笑ってくれた。やっぱりおかしい。
おかしいのは私ね。望んでたことのはずなのに。
わがままだけど、お願い。
そんなに優しくしないでよ。
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自創作 硝煙は笑う より
楽園
目が覚めたら、暗い場所にいた。
知らない場所だ。いや、そもそもさっきまでこんな所にはいなかったはずだ。
俺は死んだのだ。嫌でも覚えている。
頭から受けた衝撃と、鳴り響くあの音を。
だとしたら、ここは何だ。
『……やぁ、よく来たね』
背後から声が響く。
「誰だ」
『それは答えられないな。まぁ、君に次の行き先を伝えに来た者、という認識で構わない』
「何の話だ?」
突如、不思議な感覚に襲われた。
体が浮くような感覚。しかし、それでいて重い。
『君は死んだ、と思っているだろう。その通り、君は殺された……しかし、それは「作中」の中での話だ』
「待て、貴様は一体何だ!何をするつもりだ!」
『世界は繰り返すのさ。君も、ワタシもね』
意識が薄れていく。振り向いて見たのは、白髪の少女の姿。
『さて、次はどんなENDになるのかな』
その言葉を最後に、意識が途絶えた。
『────物語が繰り返せど、結末は近づいている。楽園はもうすぐさ』
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自創作 Fake File より
生きる意味
別に生きる意味がなかった訳じゃない。
やりたいことならいくらでもあった。
死にたいだなんて思っていなかった。
そのはずだった。
死にたいと思ったのは、君がうまれてから。
君と共に過ごした日々は楽しかった。幸せだった。
でも、それよりも問題の方が多かったのだ。
もう、意味なんてどうでもいいから。
君のために生きてみたい。
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自創作 To My Imaginary より
善悪
物事には善悪、というものがある。
これをしたら良い、あれをしたら悪い。その全てに、他人が理由としてあがっている。
困っている人を助けるのは善。
人を傷つけるようなことは悪。
子供でも知っているような常識。それが、善悪。
つくづく、疑問に思う。
善悪には自分の意見は反映されないのか?
困っている人を助けたら自分の得になるのか?
人を傷つけたら自分が傷つくのか?
倫理観がなかったら、自分はダメになるのか。
人間であるために、倫理観は必要か?
自分の人生を歩んでいたら必ず他人にも影響が及ぶ。
好き勝手するのは自分の自由だ。
そうして、他人がどうなってもいいのなら、「善悪」など存在しないだろう。
善悪、それは人間の疑問点だと、つくづく思う。
たとえ間違いだったとしても
思えば俺は間違いばかり犯してきたのかもしれない。
今更、人を殺すことにすら後悔を覚えないが。
あの時の後悔は忘れることもない。
だから、最後にはいつも覚悟を決めていなければならない。
この茶番劇にも、最後があることを忘れてはならない。
俺の全ての選択は間違っていた。
俺が産まれてくる場所を間違っていた。
でも、たとえ間違いだったとしても。
この人生の最後には、後悔がなかったらいい。
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自創作 赤い祝日 より
間違えた人 ギル