もしも未来を見れるなら
もしも未来を見れるなら。
お前の未来は見てみたい。
俺がいなくなったらお前は。
どんな顔して故郷に戻る?
何もかもなくなった国で、どう過ごす?
お前はどんな未来を目指して。
どんな人間になって。
どうやって、生きていく?
もっと、もっと、その先を。
お前なら見せてくれると信じてる。
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自創作 硝煙は笑う より
無色の世界
君が死んだと聞いて、色が消えた。
消えたのは色だけじゃなかったかな。
とにかく、僕が僕としてある根底のものが、気付いたら消えていた。
重要なのはその事実だけ。
国がどうなったかとか、そんなことは関係ない。
……いや、一つだけ、ある。
人は死ぬのだ。国も、世界もおなじ。
君が死んだからといって。
僕が僕でなくなったからといって。
世界が死なない限り、「これ」は変わらない。
白黒は白黒のまま、生き続けてしまうのだ。
「……さて、話の続きをしようか」
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自創作 硝煙は笑う より
色が消えた人 神崎
桜散る
春も、もう終わる。
今年も夏が来る。
そうやって、時は何も変わらないままで。
ずっと桜の散り際を見ている。
届かぬ想い
こんなに近くにいるのに、届かない。
初めは絶対に手に入れようと近付いたのに。
俺が思っていたよりもずっと、この距離は長かった。
これでは、あの時と同じだな。
何度目かの告白も、もう聞き飽きたろう。
どうせ、結末がバレるのは時間の問題だ。
この手で、殺される前に殺してしまうのだ。
何度も吐いて届かなかったこの想いは、
とうとう永遠に届かぬものとなった。
銃口が鳴いた後の夜は、やけに静かだ。
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自創作 赤い祝日 より
終わらせた人 ギル
神様へ
もし、あんたが俺の声を聞いてるってんなら、一つ質問に答えてくれよ。
『あんたにゃ、人間を不幸にさせて楽しむような趣味でもあんのか?』
俺は端から神なんざ信じちゃいないが、この世界の顛末についちゃあ、流石に自分を疑わざるを得ない。
こんな状況、九死に一生得られりゃ幸運だ。
一体、こんなことになったのは誰のせいだ?
いいや、あんたのせいだとは言わない。
ただ、俺は俺の終着点の答えを知りたいだけだ。
この不幸は、何時になったら終わる?
どうやったら終わらせられるんだ?
───「願いを何でも一つ」って、よく言うよな。
勿論、無償とは言わない。
俺の命一つで足りるならくれてやる。
だから、もしあるなら。
彼奴の命だけでも、どうか掬ってやってくれ。
■■より
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自創作 硝煙は笑う より