泣かないよ
泣くわけないじゃん。
どうしてそうなるか知りたいもの。
人の心と行動は不思議
喜怒哀楽…よくわからないから、知りたいんだ。
どうして、そんな顔しているの?
泣きそうな顔しているから心配?
そうかな?
フゥ。この世界は哀しい事の方が多いのか?
涙コレクションが偏っているみたいだ。分析器壊れた?
涙コレクション溢れたら、今以上に涙が増える。
だから、涙はこぼさない。
引き受けられるうちは。
声が聞こえる
耳をふさいで布団をかぶる。聞こえる音はからだを流れる血流の音であり、早鐘を打つ心臓の音。
そうだ。このままでいれば大丈夫だ。両親の争う声も、荒れた兄弟の暴れて喚き騒ぐ声も聞こえない。
それでいいのか?兄弟は助けてくれって言っているんじやないか?両親だって本当は苦しいって言っているんじゃないか?何が出来るんだ?助けてやるなんて出来るわけない。
ガチャガチャと部屋のノブが回される。
その部屋には誰もいないぞ。お前が血だらけにしただろう。もう、腐りかけだ。ハエがでてくるし、くさいぞ。
やめろ。ガムテープで隙間塞ぎなさいね。
そうだった。あの日、厄介で世話がかかるが金をもらえる自分は兄弟に滅多刺しにされた。金をもらうために放置されているんだ。助けなんかやつらにはいらないだろう。枕元と言わずまとわりついてやる。
自分の声が聞こえる?痛かったよ。
大事にしたい
おかしいな。
僕は首を傾げて引っ叩かれた頬を押さえ、怒りながら去って行く彼女の後ろ姿を見送った。
今回は何がいけなかったのか整理してデータベースにいれておこう。また、同じかもしれないな。パターン化してきているからあててみようか。
晴れた頬を冷やしながらキーボードに出来事を入れて行く。それは事務的で滑らかかつスピーディーだ。
なぜかモヤモヤする。容姿、知能、経済力、悪い方じゃないはずだ。わからないな。
入力後、データベースの整理が終わり累積データの傾向が表示された。
何を求めているのか。譲れないものは何か。
学習結果から質問をしてきた。
温もりと優しさが欲しい。こうやって話す事。
しばらく演算をしていた。
そうか。こうやってこいつを悩ませる時間が大事なんだ。そうか。うんうん。スッキリしてきたぞ。
回答
しばらくこの対話をやめてキャンプでも行ってください。あなたには生身の方が必要です。データだけでは本当に欲しいものは手に入らないです。私はあなたを大事にしたいというご両親の想いでできています。
プツと対話をやめてスクリーンを暗くして部屋の明かりをつけられた。
友人からメッセージが届く。アウトドアの誘いとは嬉しいな。迎えに行くぞ。
時間よ止まれ
矢沢永吉を熱唱するあたりはかなり昭和だ。でも、いいじゃないか!好きなんだから。
と、一人自己満足に浸り自分の世界にて楽しむ。
時間の流れの感じ方は個人によって違う。全てに共通する時間軸は同じはずなのに。つまらない時と楽しい時をかんがえるとよくわかる。集中している時も。
意識しているかしていないかの差?
だから、幸せって思うとこのまま時間が止まれば良いとか言ってしまうがそれに興味がらなくなると苦痛になるって矛盾。
生きているって意識しているのは普段ないのと同じか。
なくしてから気づくみたいな−。大事にしないと。今の自分は有限なのだ。有機契約でこの世に来ている。だから、時間が止まったら終わり。簡単に時間よ止まれなど言えない。採点が始まってしまうかもしれない。
契約期間の間は…楽しく正しくいたいものだな。
戻れ!自分。現実に。生活費確保に行くんだ。イヤって言える間は幸せなんだからな。
夜景
今は宇宙ステーションにいる。地球の夜はギラギラしている所と光もない漆黒の場所がであるから面白いぞ。と、言われていたが全てが闇の中にあるみたいだ。
あぁ、あの丘に寝転んで夜空の星を数えて、星座の話しをして、帰る為に街を見た時、家の明かりが星座みたいだなと兄が笑いながら言ったな。今なら、きれいにみえるかな。ここじゃ無理か。
またここにいたのか。
一緒に志願した兄が地球を見て俺の肩をポンと叩く。
明日は出発だな。
兄さん。また、きれいな夜景見られるかな。
戻って来る事は出来ないだろうな。俺たちは。孫の孫ぐらいなら見られるかもな。あ!お前はモテないから、無理か。
兄はニヤリとすると俺の頭をわしゃわしゃと撫で回した。優しく言った。
帰ってこような。俺達だけの夜景のために。あの丘に。
うなづくしか出来なかった。
戦争と自然災害が重なり地上は人が住めない。地下生活は長く、疲弊し始めた頃、宇宙への移住先探しと資源の確保を目的としたプロジェクトが公布された。
口減しとも言われたがとちらも逼迫していた。
一眠りしたら夢の中であの丘から見た街がきれいな星座みたいに見えたらいいな。
コールドスリーブ装置の並ぶ区画に入る。兄とグータッチする。扉が閉めたと同時に真っ暗になり眠りに落ちた。