茜寧

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3/21/2023, 12:26:20 PM

1年前の夏、彼は死んだ。

斜陽が差し込み、多くの人が交ざり合う今日まで、私の中の彼は生きていた。

知らせは突然だった。

「あの子ね、亡くなっちゃった。」

詳しい理由はわからないが、自殺だったらしい。

彼の親友が言うのだ。間違いないだろう。

年末、彼のお墓参りに行くことになった。

汗の滲むような日差しが眠ったと思えば、人々の心の隙にまで土足で入ってくるような冷たさが襲う。

明日を終わらせた君のことを知らずに過ごしてきた1年は、彼にとってどれほど孤独だっただろう。

そして、明日の来ない君のことを思う人が、君の選択の故に増えたことを、君はどう思うのだろう。

私は知らない。君の選択の訳を。

でもこれで分かるだろう。もう君はひとりぼっちじゃない。

3/16/2023, 2:30:16 PM

泣かなくなってから、泣きたくなる夜が増えたの。
嫌いになってから、好かれたいって強く思うの。

3/14/2023, 3:56:36 PM

貴方は眠る。
乱れたシーツの上で、

太陽が目を覚まし、今日を呼んでいる。

私は眠る。
汚れた貴方の隣で、

今日の始まりが訪れる。

始まりを終わりに変えた私達は、今日に別れを告げる。
そして、夜を待つ。

3/12/2023, 4:40:56 PM

黄金色の斜陽が貴方の目を刺す。

私はそれをファインダー越しに見つめる。

貴方はいつもここにいるのに、私はいつも貴方を見失ってしまう。


紫色のパンジーが風と踊り、私の目を奪う。


私は、貴方の少し後ろで。貴方と同じものを見ていたい。

しかし貴方はいつも、どこか私の知らないものを見ている。

また私も、貴方を見ているようで自分しか見ていない。

私達には、そのくらいがちょうどいいのかもしれない。


でも、私は彼の左手を捕まえ、目を見て笑顔で問う。

「ねぇ、なにみてるの?」

3/9/2023, 2:55:38 PM

3月20日。私は上京をする。

朝早く起きて、住み慣れた街を離れる。

そこには家族が居て、友達がいて、好きだった人がいる。


たくさんの時間があって、たくさんの出会いがあって、たくさんの機会があったのに。

私は、入るだけの服と大切なカメラをスーツケースに入れ、この場所に別れを告げる。

「いってきます。またね。」

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