お題:「本気の恋」
待ち遠しい。
あなたに会える日が、ただ。
空を仰ぎ、青を吸い、雲へ馳せる。
分厚く低い、
届きそうで孤高な、
光を受けた影で、存在を一層濃くしている。
次に見れば、恍惚の瞬間は永遠になってしまう。
なんて事だ!なんと罪深い。
今日も、あなたを想わずにいられないのだ。
「雲」
焦がれた雲の上
春には一番に世界中を駆け巡り。
夏には海の上、空高く反り上がる。
秋には人から身を隠し。
冬には結晶を手に取って、陽にかざす。
氣儘に寝ては起き。
地を覗き込んでは、その広さを胸に宿す。
焦がれた雲の上
ぎゅっと抱き寄せた水滴は、
確かな温もりと共にある。
お題:「海へ」
夜になると、深く沈める。
月明かりで、泡が見える。
身体の動きは鈍いが、心地良い。
ひんやりとして、自分の呼吸だけが聞こえる。
底の知れない海溝へ。
。
。
。
。
。
。
目覚めるとそこは、少し茶色っぽい天井だった。
お題:「裏返し」
自分の背中は自分では見えないらしい。
となれば、他人にあれこれ言ってて自分は棚上げみたいなことをやっても、気づきにくいのは確かなんだろう。
自分は良くて他人はダメ
他人は良くて自分はダメ
それは、一体何を基準した意見なのだろう?
後ろから「選択肢がそれしかない訳ないだろ。自分の意思で決めて欲しい」そんな演説が聞こえた。
長らく栄えた文化や思想は終わりを迎え、
新たな生命を宿す。
時代は移ろう。氣ままな風のように。
個を知り、その上で生きる術を持てる。
僕は、なんだろう。
どう、思いたいんだろう。
一体、何を求めているんだろう。
飽和していた思想を、今、蒸気にかえて。
純粋な水が見たい。
何にも邪魔されない、神域。
その上でこの地球で生きれたら。
青は、もっと濃くなる。
お題:「鳥」
黒鳥
-ブラックスワン-
この鳥は、1697年にその存在が確認された。
実際、この言葉を最初に目にした感想はどうだろう?
「何それ」
「本当にいるの?」
「白鳥じゃなくて?」
「くろとり?」
まさに、青天の霹靂である。
-1年前、オーストラリアへ行った時だった。
現地にて。
“黒鳥って本当にいるのかな”
何故かふと、こう思ったのだ。
すぐに調べると、なんとオーストラリアの固有種らしい事が判明。
その辺の湖にいるとの事で、次の早朝に近くの湖を訪ねた。
幸運な事にホテルからほど近い場所に湖があり、その上二箇所目で見る事ができたのだ。
白鳥より小ぶりな身体。
黒羽に赤の差し色と
静かな眼差し。
たった数十センチの距離。
2羽は、度々こちらを一瞥するだけであった。
そしてただ、ひたすらに草をつついている。
「なんて高貴なんだ」
それが、一番の感想だった。
黒は、格好良く見えるだろうか?
黒は、恐ろしく見えるだろうか?
白は、眩しく見えるだろうか?
白は、光に見えるだろうか?
あの黒鳥は、白く輝く黒であった。
願わくば、また会いたい。
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ノンフィクションです。