お題:「カーテン」
見上げた空に、鼻にくるような陽射しが突き刺さる。
ハックション!
天の道はまだ遠く。
眼前にどデカい蜘蛛の巣が、フィルターをかけている。
ハックション!
清々しいほど澄み渡る青に架かったイトは、魔を差して美を誘う。
見惚れる事はないが、忘れる事もできない。
カシャッ
ぬるくて息を詰まらせるような空気が、
窓を開けても変わらずに続いている。
秋の匂いでお腹が空いて、
口へ運んだものの味が、
いつもより濃い。
表現不能なこのつっかえを、
包み込んでくれるような。
ゲホッ。ゲホ
お題:「夜景」
「やっ、失敬失敬」
なんて言ってこちらにもたれるこのヤニ酒臭いおっさんは、俺と同い年だってんだから。
目を逸らしていたい。
『タクシー呼びますよー』
棒読みで呟き、息を止め、スマホを開く。
便利になったもんだ。
息止めながらタクシー停められんだから(笑)
そう言えば。なんだっけか。
ナ○ツの塙さんがドラマに出た時、棒読み過ぎて棒棒鶏とか言われてたって話だったな。
少し隣を見て。
いやぁ。コイツはどこも臭くて敵わねぇやな。
『タクシーのお代、いつも通り取りますねー』
仲介手数料も取ってやろうか。
...いかんいかん。
タイミング良く、目の前にタクシーが停まった。
『お願いします』
毎週金曜、夜も更け。
窓から見える店などは、車のスピードでライトが
塗りつぶしている。
そんな街に焦がれる奴は、とっくに寝ている。
『ありがとうございましたー。』
ぶおおおお
『着きましたよー』
起きろよ。
?あ。今日はすげぇまるいなぁ。
そういや、9月だったか。なんてか、
長き月の世は恐らく、
あなたに盾突き、寄り添う。
夜の景。
お題:「空が泣く」
「うわっ!」
何かが旋毛にクリティカルヒットした。
ちょっと痛い。
右手で押さえながら上を見ると、分厚い雲がこちらを見下ろしていた。
家まであと10分。
リュック入れたおニューの折り畳み傘。
足早になった。
チッ。赤じゃねぇか
加えて車が多い。
イヤホンから流れるお気に入りの曲が五月蝿い。
心なしか頭を打つ粒は増えている気がする。
何
が
そ
ん
な
に
心 君
を
急
か
す
?
『問いは、無視されてしまう。
きっと、西陽が照らす方へ虹がかかることも』
ゲッ。ここで強くなんのかよ!
家まであと10歩。
走って屋根に入る。
このまま大洪水にでもなって、明日休めねーかな。
ガチャン
『そして。』
雲
は
移
ろ
い
君に降る。
お題:「命」
秋。春一番が吹いて、
炎陽は清々しく照っている。
椿の花が白地に堕ちて、私は。
貴方に命乞いをするだろう
。