くっか

Open App
7/12/2024, 10:57:57 PM

昔はネコになれた
もう今はなれない
なり方が分からなくなった

中学2年生くらいまでは
ネコによくなっていた
ネコになれば、
誰からも嫌われないと思っていたから

でも、自分のことが嫌いな人は
ネコであろうとなかろうと
嫌いだろうし、
全世界の人間に好かれるなんて
無理な話だと知った

その瞬間に化けの皮が剥がれ、
私はネコになれなくなった
ネコを演じる必要のない自分は
とても生きやすい

しかし、一つ疑念が湧く
ネコじゃない私は1人と思っていたのに、
どうやら違うのだ

家での私
中高の友達の前の私
大学の友達といる時の私
職場での私
全員別人な気がした

今の私はなんだろう
本当の私は誰だろう
これまでずっと謎だった
きっとこれからも謎のまま

〜これまでずっと〜

7/10/2024, 10:24:45 AM

恐怖で飛び起きた
落下の衝撃で目が覚めた
私はベッドの上にいた
背中にパジャマが張り付き
目に涙が溜まっていた

とても怖かった
誰かに追いかけられ
崖から突き落とされた
一体誰に追いかけられたのだろう
顔はモヤがかかったように
思い出せない

ひとまずシャワーを浴びる
髪を濡らしながら考える
あれは誰だったんだろう
もはや、誰に何のために
追いかけられていたのだろう
夢が薄れていく

新しいパジャマに取り替えて
冷蔵庫から牛乳パックを取り
コップに少し注ぐ
誰に何をされて怖かったのだろう
もう怖い夢を見たこと以外
何も覚えちゃいなかった

人ってよく出来てるなぁ
なんて感心しながら
夜明けとはいえ
みんな寝静まる町を眺め、
牛乳を流し込む

〜目が覚めると〜

7/9/2024, 10:11:23 AM

友達はテストの点数がいつも良かった
私は友だちに聞いた
なんでいつも点数がいいの?

復習してるからかな?

復習するなんて、スゴイね

小さい時からやってるから
別に普通だよ

私は彼女の当たり前を尊敬し、
私の当たり前にしようとしたけれど
遂には身につかなかった


私はいつも美術の評価が良かった
友達が私に聞いた
なんで絵が上手いの?

小さい時から絵を描いてたからかな?

そんなに絵を描いてきたなんてスゴイね

好きでやってることだから
別に普通だよ

普通だなんて言ったが、
本当はすこぶる嬉しかった

自分の当たり前を褒められることは
自分の中身を褒められるように
変にくすぐったくなる
自分の今までを褒められるように
幸せでいっぱいになる
そして、当たり前が身体の一部になっていく

私は思った
末に、身体と同化した当たり前を
人は才能と呼ぶのではないかと

私の当たり前はあなたと違う
あなたの当たり前は私と違う
あなたが当たり前だと思ってることは
誰にとっても当たり前のことではない

あなたが文章を綴ることだって
私が書き起こす文字だって
みんなの当たり前ではない

いつか素晴らしい才能になるんじゃないか
なんて、偉そうに私は文字を綴った
〜私の当たり前〜

7/8/2024, 10:06:18 AM

星が綺麗な理由は何故か
それは宇宙のどこかで
恒星が燃えているからだ

今照らす光はうんと前に生まれた
今見える光はうんと先で死んだ
星の光は星が生きた証
だから綺麗

夜景が綺麗な理由は何故か
それは無数の灯の下で
人生が燃えているからだ

今照る灯の下ついさっき命は灯された
今見てる灯の下今も命が燃えている
夜景の灯は誰かが生きてる証
だから綺麗

〜街の明かり〜

7/7/2024, 12:01:55 AM

花火が始まる3時間前
いつものメンツで
シートを敷き
ラムネを買う

青空バックに
ラムネと記念撮影

ひとしきり撮れば
少し温くなった
ラムネをお供に
話し出す

卒業した
成人もした
が、集まれば高校生に戻れた
花火が始まるまで
内容も覚えてない
しょうもない話に
花を咲かせる

花火が始まれば
いっとき口を閉ざした
次々と咲いては散っていく
花を見送る
30分花見をすれば、
混まないうちに帰ろう
と立ち上がる
花火を見る人達と反対方向に
未練なく歩き出す

「うちら花火大会に
何しに来てるんかな」
と問えば
「ラムネ飲んで、
喋りに来てるんやろ」
と返ってくる
みんなの笑い声が
喧騒の中ではっきり聞こえた

その言葉が頭に残って
家に帰った私は
水彩絵の具でラムネの絵を描いた

〜友達の思い出〜

Next