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12/9/2025, 8:25:35 AM

『雪原の先へ』

学生時代、スキー合宿に参加したことがある。

板もウェアもレンタルで、一泊二日で滑れるようになろう!という、やや無茶なものだった。

なぜか運動音痴に見られがちな私だが、子供の頃から運動神経には自信があったので、やる気満々で挑んだ。

結果はあっさりと滑れるようになり、初心者コースでは物足りなくなった私は、意気揚々と中級者コースへ。
そこでも難なく滑れてしまったところ、他の合宿参加者たちやコーチ役の人に上級者コースへ連れて行かれた。

まあ、滑れたことは滑れた。
怖かったけど。

ここで終わっていればよかった。
この後、林間コースへと連れ出された私は、カーブを曲がりきれずに柵の外へ……

その時の風景を、今でも覚えている。
突然開けた視界。
なにもない、ただ真っ白な世界。
雪原のその先へ、私は飛んだのだ。

呆然としていたのは多分一瞬で、頭から雪の中へ突っ込んだ。
すぐに引っ張り出されたから助かったけど、あのままだったら窒息していただろうなぁ。

12/8/2025, 9:30:19 AM

『白い吐息』

吐息を白い薔薇に変えて、部屋中に飾って想い人に逢えない淋しさを慰める。
そんなことを歌った曲があった。

しんと冷えた部屋の中で、ほう、とついた溜め息が白い薔薇に変わる。
それを手のひらに乗せて、窓辺や戸棚の上にひとつずつ飾る女性。

とても美しい情景だと思ったけれど、飾られた薔薇が多ければ多いほど、曲の主人公は想い人に蔑ろにされ、独り淋しい日を過ごしているのだ。

部屋中が薔薇でいっぱいになった時、彼女は何を思うのだろう。
――何が、起こるのだろう。

静かな別れか、
それとも薔薇を真紅に変える何か、か。

うん、まあ、不倫の歌でもあったんだよね。

12/6/2025, 8:12:33 AM

『きらめく街並み』

十二月に入ると、街のあちこちが美しく飾りつけられる。
眼福眼福と歩きながら眺めているけれど、そういった派手さのない、ささやかに飾りつけられた民家も好きだ。

住人の為人が見えるような気がする。

見て!見て!と強く自己主張しているもの。
あの、えっと、そういうつもりはないんです、ただちょっと、いつもより少しだけオシャレにしたいなって
という感じのもの。
特にはそういうのに興味はないんですけどね、まあ、強いて言えば、ここのところね、ココ、これがちょっとしたこだわりでね、と一点に絞ったもの。などなど。

そんな街並みが微笑ましい時期。

12/5/2025, 6:04:59 AM

『秘密の手紙』

秘かに仕舞われていた
密書に認められたソレ
のぞまぬ内容に腹立ち
手でカサリと握り潰す
紙の古びた匂いがした

12/4/2025, 6:54:08 AM

『冬の足音』

師走に入ってもまだ少し暖かかったのが、昨日今日とで急に寒くなった。
昨夜は雹が降った。

カタンコトン、パラパラパラ。

雨予報が出ていたけれど、これは雨の音じゃないなと外に出てみたら、黒い道路に白い真珠みたいなものが無数に転がっていた。

手のひらに乗せても、ちっとも溶けない。

豆撒きみたいに道路に投げて、また部屋に戻った。

カタンコトン、パラパラパラ。

雨音よりも硬質で、冷えた音がした。

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