『雪原の先へ』
学生時代、スキー合宿に参加したことがある。
板もウェアもレンタルで、一泊二日で滑れるようになろう!という、やや無茶なものだった。
なぜか運動音痴に見られがちな私だが、子供の頃から運動神経には自信があったので、やる気満々で挑んだ。
結果はあっさりと滑れるようになり、初心者コースでは物足りなくなった私は、意気揚々と中級者コースへ。
そこでも難なく滑れてしまったところ、他の合宿参加者たちやコーチ役の人に上級者コースへ連れて行かれた。
まあ、滑れたことは滑れた。
怖かったけど。
ここで終わっていればよかった。
この後、林間コースへと連れ出された私は、カーブを曲がりきれずに柵の外へ……
その時の風景を、今でも覚えている。
突然開けた視界。
なにもない、ただ真っ白な世界。
雪原のその先へ、私は飛んだのだ。
呆然としていたのは多分一瞬で、頭から雪の中へ突っ込んだ。
すぐに引っ張り出されたから助かったけど、あのままだったら窒息していただろうなぁ。
12/9/2025, 8:25:35 AM