『白い吐息』
吐息を白い薔薇に変えて、部屋中に飾って想い人に逢えない淋しさを慰める。
そんなことを歌った曲があった。
しんと冷えた部屋の中で、ほう、とついた溜め息が白い薔薇に変わる。
それを手のひらに乗せて、窓辺や戸棚の上にひとつずつ飾る女性。
とても美しい情景だと思ったけれど、飾られた薔薇が多ければ多いほど、曲の主人公は想い人に蔑ろにされ、独り淋しい日を過ごしているのだ。
部屋中が薔薇でいっぱいになった時、彼女は何を思うのだろう。
――何が、起こるのだろう。
静かな別れか、
それとも薔薇を真紅に変える何か、か。
うん、まあ、不倫の歌でもあったんだよね。
12/8/2025, 9:30:19 AM