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9/17/2025, 10:51:04 AM

【靴紐】

「靴紐が解けてる」

君が言って、歩を止める。
僕は屈んで紐をキツく結び直し、
差し伸べられた手を取り立った。

解けてしまったら直せばいい。
君と僕がそうだったように。

9/16/2025, 12:04:30 PM

【答えは、まだ】

たとえば10年間、名前しか知らなかった君。
話したこともなければ、互いの認識すらない。
けれどいつも心のどこかで残る君の名の音。

顔も、声も、昔の姿も、今の姿も、まったくなにも想像がつかなく、まるで妄想の中に存在する人のよう。
だけど、君が確かにいたという記憶だけは確かにあって、こうして君を想うと胸が仄かに暖かくなるんだ。

この気持ちの答えはいったいなんだろう。
答えは、まだ、わからない。けれど、わかったところでどうすればいいのかさえも、またわからない。

9/15/2025, 2:14:09 PM

【センチメンタル・ジャーニー】

そうだ、あなたの好きだった海に行こう。私は山が好きだったから、いつも喧嘩ばかりしていたね。
でも、もうそんな喧嘩すらできないから、あなたの好きだった海に行こう。

温い潮風、耳につく潮騒、寄る波辺を歩いて…。
ここをあなたと歩いていたら、もう少し何かを感じられることができたのだろうか?

9/14/2025, 10:11:49 AM

【君と見上げる月】

君と見上げる月が綺麗だったことを、
君がいなくなって初めて知った…。

今宵見上げる月は雲に隠れて見ることができない。


――――――――――――


月よ、月よ、遥かに遠き月よ。
君と見上げたあの月が最期だというのなら、
あの日あの瞬間に君を抱きしめればよかった。

月よ、月よ、さてもかわらぬ清けき月よ。
その冷たき光にひと欠片の情があるのなら、
どうかその瞳の涙を私の代わりに拭っておくれ。


――――――――――――


君と見上げたはずの月が記憶にないのは、
きっと月明かりに照らされた君の横顔を、
飽きもせずにずっと見つめていたせいだね。