紅の記憶
クスクス クスクス
またやってる。
同僚や先輩が陰口をいいあってるのだ。
大抵は見えないとこでやってるが、今日は運が悪かったみたいだ。
少し遅い時間にお湯を取りに来たせいかばったりと出会ってしまった。
シーンと静まり、何でもなかったように再び話始める。
ちょっと気まずい。
足早にカップにお湯を注ぎ、「次の話題は俺かな」と思いつつ自分の席に戻る。
昼飯のカップラーメンを食べつつ、あんなとこで迂闊にも陰口をたたくのが悪いんじゃないかと思い始めた。
陰口を叩く奴らか悪いから俺が気まずくなる必要はないんじゃないか?まあそんなこと思ったって俺が何か言えるわけじゃない。
それでもやっぱり耳につくとこでは辞めてほしい。
ラーメンの残り汁に白米を入れ食べる。
体には悪いが結構好きなんだ。
隣では同じく食べ終わった同僚cちゃんが紅い口紅をつけている。割と濃い紅色で女子の悪口にもあがっていた気がする
休憩時間はあと15分くらいある。トイレは給湯室の先にあるからどっか行っててくれたらいいんだが…
やっぱりいますよね…
まあ何でもないというように通り過ぎトイレへ入る。
トイレを終え出ると同僚aが出てきた。2人で手を洗いつつ雑談をする。
女子やばいよな?jさんとかも結構…
そうそう、hさんのグループとかわかりやすいし
Cさんももうちょっと…わかるー
俺達も変わったもんじゃないな。
そう思いつつ席に着き仕事を始める。
そんなある日事件は起こる。
bさんの財布が無いというのだ。
なかなかの事件で皆大慌て。
特に同じ部署のマドンナbさんだった為に犯人探しが始まった。皆誓って取ってないというのだ。
俺は防犯カメラを確認しようと言ったのだが女子の一人がCちゃんが取ったというのだ。
そう、紅い口紅をつけていたCちゃん。
Cちゃんは慌てて否定するがそれを女子が許さない。
まるで女子達はCちゃんが撮ったと決めつけ根拠もなしに吊るし上げた。
その気迫に部長も人何も言えなくなってしまっている。
辺りは静まり帰り皆黙り伏せている。
しかし俺は知っているこの女子グループ最近Cちゃんにイジメに近いことをしていた。確信はない。しかし否定するのにはそこそこ有効だろう。
だが今俺が発言したら今度は俺も同じように吊るし上げられるだろう。それは困る。最近やっと彼女ができたばっかりなのだ
確かに最近Cちゃんの陰口が大きなとは思っていた。いや別に聞いていたわけじゃない。だたま聞こえただけだ。
それでもこうまでするとは、、
結果監視カメラを部長が確認しただのbさんがトイレに置き忘れをしていただけだった。
それでもCちゃんはいづらくなって退職。詳しいことは知らないが、以前から何かされていたのかも知れない。
そんな事件があっても仕事は山のようにあるし、当たり前に女子グループはお咎めなしだ。
それでも誰も何も言わない。面倒事に巻き込まれたくないのだ。
Cちゃんは退職してどうなったのだろう。
薬局でCちゃんがよく塗っていた紅い紅いリップを見つけて思い出した。
ささやかな約束
「約束だ!」「あぁ」
何約束したんだっけな……
同窓会達とはとんと会ってない。高校は県外に行ったから。
あれからもう5年、同窓会の便りが来た。
「よー、久しぶり!」
久しぶりに会ったあいつらは変わりなくて、ドギマギしてた自分が馬鹿みたいだった。
20と19達、普段行かないちょっといい居酒屋に入る。
皆ツンとした酒の匂いに浮かされて昔と同じ馬鹿みたいに騒いだ。
あの頃とは違うけど何も変わっては居なかった。
帰り道、酔いつぶれた奴らをタクシーに押し込む。
最後の方絡まれて面倒だった。俺も飲めたらよかったのに
残ってる奴らと別れを告げて帰る。
一緒の方向に行くこいつは酔ってるみたいで鼻歌交じりに話しかけてくる。
近況、思いで、その他色々。
他愛もない話をした。
どちらかと言えば堅物だったこいつが容易に喋る姿は新鮮だった。
ふと静かになる
「なあ覚えてるか?約束したの」
何んだっけ?
「そっから、じゃあいいや。何でもない」
気になるじゃん?なんだよ?
あいつとは「やっぱなんでもない」と言って結局何も分からぬまま解散した。
何だったんだ。
後日、卒業アルバムを開く。
どうやら同級生とあって感慨深くなったみたいだ。
寄せ書きのメモ、
「これからも仲良くしような!」
また今度飯でも誘うかな…
秘密の標本 (フィクションです)
ある時ヤクなんかの材料になるかなんかで特定外来生物を駆除することがあったらしい
その生物は巷じゃあ可愛いと噂になっててペットとして飼ってる人も多かったみたいだ
それでも政府は何らかの影響を憂慮して駆除を決行
人間どもは抵抗の証としてデモをしたみたいだ
ある人は叫ぶ「ペットにも人権を」
ある人は叫ぶ「ペットにも平等に知識を」
変な話だろう?人間のペットなのに人権?知識?
終いにはその生物の支配下に行くべきだなんだと喚く喚く
あんまりにもにっちもさっちもいかなくなったみたいだ。
目の余る人間どもは、黄泉の国の片道切符を握らされたみたいだ
そんな騒動が起きてる国は一部だけじゃなかった。
ウイルスのパンデミックのように世界中で大流行。
戦争なんて起きないほど荒れ果てた世界は勿論ヤクとスラムと貧困まみれ
原因は何か世界中の人間が調べたさ
それが存在しないんだ。
勿論ヤクだデモだなんかはあるが根本的な原因がない。
ある時スッと世界中荒れ果ててる。
その時何が流行ったか……そう、特定外来生物だ。
不思議なことにある国ではA国、ある国ではB国、ある国ではC国と生息場所は変わっていた。
そんなあり得ない事象に何も疑問を当時は抱かなかった
面白いだろう?人間が見事にその生物に踊らされているじゃないか
そんでもってその生物は何をしたかって言ったら成り代わったんだ人間どもと。
さて今疑問に思ったそこの君、確かに今では人間が地球を支配してると言ってもいいだろう。
人間は滅びたと思っただろう?
つまり、だから人間はペットになったんだ。
人間の歴史によくわからない三百年がある。
その期間人間は書物を残せない、言葉の途絶えた期間。
じゃあどうやって人間が地球を再び支配したか、まさに同じ事をしただけさ。
ひっそりと知識をつけ飼い主をそそのかし、国を荒らす。
三百年と言っても言い伝えが残せるくらいだ。
皆長生きした前提だとひいおじいちゃんくらいの言い伝えになるかな?
人間が再び支配を取り戻す事を夢に見て何を思ったんだろうね、
さてそんな生物、人間が支配権を取り戻しても危険すぎて保管もしなかった。ホルマリンにつけたり細胞を培養したりもね、
唯一書物に残した。
それが全ての歴史で空白の三百年の唯一。
しかしそれも風化して解読が厳しくなってきた。
もう何百年も前の話だからね
さて、こんなところか。
どうだい?面白かっただろう?ある時は貴族が、ある時はマフィアが、ある時は群衆が、ある時は謎の生物が
次は何を登場させたい?
僕はコレクターでね。君たちとは少し違う生き物と思ってくれていいんだが、いろんな物を集めてるんだ。
それがコレ秘密の標本なんだ。
人間は謎の生物を何も残さかったが僕は人間じゃないからね。
どうしたい?君憎いんだろう?人間が。
いいじゃないか。
さあ、口を開けてすぐに幸せになれるよ、
僕達のペットにしてあげる
光と影
羨ましかった。
ずっと、ずっと、
何をやっても褒められ可愛がられるあいつが。
あいつと対比するために生まれたかのような僕は何をやっても詰られる。
褒められることもできず愛想だってない僕。
あいつが光だとすると僕は影に過ぎない。
そんな僕を気にいったらしいあいつは僕を連れて過ごした
僕の意見なんか聞かず好き勝手。
怪我をしたら2人して怒られる。
テストで百点を取ったらあいつも百点。
あいつの周りには人だかりができて惨めになる。
何で後になって僕を褒めるんだ。あいつにしか認められないと証明してるようなものだろうが、
だんだんあいつだけが大きくなって、僕は群衆に紛れる。
何一つとして変わらない生活を送った僕の片割れは呪のようにこのディスプレイの向こうに姿を見せる。
身を分けた二人なのに。なぜこんなに僕だけ惨めなのだろう。
強すぎる光に焦がされて影は消滅するべきなのかも知れない。
影の一つにもなりたくない僕はもうあいつの引き立て役にもなれない。そんな僕に存在意義はあるのだろうか。
所詮影は光によって存在するものだから。
君が紡ぐ歌
「歌姫」
一度聞けば頭から、身体から、本能からこびり着いて離れない
君が歌う度辺りは静になる
絶えず君の周りを取り囲む人間は既に君の物だ
君の歌は、美しい音色はバイオリンのようで自分の語彙力のなさを痛感する。
この世の賛辞の全ては君の為にあるのだろう
君の歌はすべてを救うだろう
君の声は歌はすべての人を幸せにする
人魚ですら嫉妬するほどの美しい歌姫よ
君のような美しい人魚は人間の醜い妬みの果てに人間を滅ぼしてしまえるのだろう
どうか幻滅しないでおくれよ
あぁ美しいひと、
君の紡ぐ歌は、君は、なんて、なんて、
とても言葉に表せない…
君にこの大地も、太陽も、宇宙だって捧げたい…
だからお願いプリンセス
泡となって消えないでおくれよ