何気ないふり
明日を向く人を見て一歩後ずさる。
自分の手の内を見て2歩戻る。
未来がこちらにやってきて5歩逃げる
それでも逃げることはできなくて明日がやってくる。
後ろに下がることはできず時間という壁が押し出してくる。
メダルゲームのように流れ動く大多数の一部になることはできず、きっと自分は隅に挟まった役立たず。
それでも未来はやって来る。
波に打たれた岩みたいに何も出来ずただ耐え削れることしか出来ない。
自分のほうが何倍も削れやすい泥岩というのに波は容赦なく削り続ける。
結局何とかしたくて手の内見ても何もない。
ただ何気ないふりしてやり過ごすしかできない自分しか居なかった。
空白のなかには空白しかなくそれに名前をつけることも叶わない。
明日を夢見て過ごす自分のなかには何がのこっているのだろうか。
何気ないふり(2)
春が来た。
2月は走ると言いながら3月も走り去った気がしたが、まあ仕方ないだろう。
花が咲き、木々が艶めき、花粉が飛ぶ
憂鬱であり一年の始まりを祝う季節と思えよう。
アレやコレや憂鬱なことや不安な事はあれど、花は今を歓迎し強く咲き誇っている。
動物が目覚め、桜が咲き、虫が出てくるこの季節、
春のだけの綺麗な植物も居るが大半は違う。
何気ないふりして咲いている雑草たちに感謝を。
柔らかな緑は彼らのおかげで生きている。
Love you
何も変わらない平日の昼下がり
人々は仕事に勤しんでアパートの周りは静かだ
僕はただ何をするでもなくベッドに沈んだまま
天井の染みは数え飽きた。
それでもスマホを見る余裕もなく
染みが蜘蛛に見えた
蠢き自分に食らいつく蜘蛛、役に立たない自分はせめて虫の餌になればいいのに
全部幻覚だと分かっててもそう思う。
何も変わらない平日の昼下がり
今も絶え間なくクルマが蠢いている
鏡の自分は鏡の向こう側に向けて嘲笑している
今日もご飯を食べベットで寝るだけの生活
いつまでこうしているのだろうか
それでも今日も天井の蜘蛛は自分に食らいつく
床のムカデはコードだろう。
幻覚たちに食われて消えたい
今日も鏡の向こうの人間はこちらを見て嘲笑している
いつかの昼下がり
何の音も聞こえなくなった
虫は蠢き自身の身体に纏わりついている
鏡の主はこちらを見て言った
「Love you」
ベランダには心地良い風が吹いていた
誰よりも
容姿端麗、文武両道、僕の人生はそこから始まった。
幼稚園に行けば可愛いと褒められ、かけっこでは当然1位を
小学校でも勉強は得意で、リレーはアンカー、やはり可愛いと褒められた
中学高校とスムーズに過ごし、今や大学生。
バレンタインでは毎年少なくとも30個は貰うし、街を歩けばモデルの勧誘を受ける。
最高の人生、誰もがそう思うだろう。
走るのが早い?
勿論速く走るために練習したさ
勉強も出来る天才?
出来るまで頑張ったのさ
顔が良い?
スキンケアを怠らず、筋トレもしたさ
確かに土台は違うのだろう。どうやっても速く走れない人もいるし、勉強できない人、容姿に関しては生まれ持ったものも大事だ。
それでも、僕も努力をして、頑張って、当然と突き放される僕は誰よりも惨めだ。
モテても結局誰も僕とは付き合わない。
どれどけ勉強をしたって、結局容姿のおかげにする。
学校では男子に目の敵にされ、馴染めない
例え運動の練習しても、結局はそれだけだ、スポーツ推薦にかかることはない。努力で何とかする事しか出来ないから。
20過ぎて一人また一人と結婚する。
結局僕は容姿しか目当てで無い人しか寄ってこない。
まるで世間から切り離されているようで、誰よりも異質な存在だ。
僕に振り向く人はいれど、僕と一緒に過ごしてくれる人は居ない。
誰よりも…孤独だ。
1000年先も
ある学者は思いました。
「この技術を後世に残さなくては」
学者は一冊の本にまとめ残しました。
ある人は思いました。
「壁に絵を描きたいな」
その人は壁に絵を掘りました。
学者が残した本は戦争や、時が経ち失われました。
壁に描かれた絵は1000年先も残り未来の学者を悩ませました。
1000年先も
「ずっと、ずっと愛してる!!」
そう言って消えていった恋人を待ち続けました。
雨が降る日も風が強い日も何年も、何年も。しかしついぞ現れませんでした。
私は魂になって500年も待ちました。彼への思いが減ることはありません。
それでも空白の時間は辛いものです。
それから諦めて転生して色んな動物になりました。
時には子孫繁栄したりもしました。
浮気じゃありません。本能です。
そうやって500年後、彼を諦めました。
幻覚だったのです。全て。何故そんな事に気づいたか、単純明快神様が哀れに思い教えてくれたのです。
彼を求めさまよった1000年。
でもきっと1000年先も愛しています。
旅路の果て
純粋無垢な自分は旅を始めた。
走って眺めて探索する
次第に泥で汚れて走れなくなる
気づいたら何にも興味は無くてただ歩くだけ
段々と旅を始めたことを後悔する
何も思いつかなくてただただ無心で歩く
この旅に目的なんてないんだから
気づいたら全身汚れて体に纏わりつく。
一歩一歩と歩くがその一歩に痛みを感じる
段々と歩くことすら億劫で
立ち止まりまた進む
旅の目的を考えたってあの頃の輝きは世界に無い
何思ったか、何のためだった全て分からなくなる
それでも今更足を止める事は出来ない。
ただ歩くだけ。
子供だった自分が老人になり
旅路の果てにいきつく。
その時得られたのは旅が終わった不安と安心。
誰のものでもない自分の旅がやっと終わった