0からの人生、スタートラインは全員一緒。
嘘言え。
同情なんて、クソ喰らえ。
なぜなら同情の言葉を吐かれる時、向けられる瞳が嫌いだから。
かわいそうだね、雄弁に語る瞳が、私を惨めにさせるから。
どうせ、君の腹の中には口に出るのと反対の言葉が、ぐちゃぐちゃに入り混じっているくせに。
善人ヅラして、分かるよ、と言う言葉は偽物のくせに。
お前なんかに分かってたまるかよ。
上部だけの言葉が嫌いだ。
空っぽの言葉が嫌いだ。
自分が虚の言葉で慰められている、その現状が嫌いだ。
私は断じてかわいそうなんかではない。
だから、絶対に同情なんて要らない。
私はそこまで弱くない。
枯葉の落ちる季節はとうの昔に過ぎ去り、私たちは春を迎えようとしている。
散歩がてら、等間隔に生える街路樹はまだ寒々しく裸の枝を晒しているが、中には新たな蕾を膨らませる木々も見受けられた。
そして、その足元には、枯葉がたまっている。
まだ芽吹きそうにない蕾たちは、水分を失って茶色に枯れた先立を見て何を思うだろう。
自分たちも立派に咲き誇ることを願うだろうか。
誰かを幸せにすることを願うだろうか。
生きている間に、散ってしまう前に、成し遂げられることを考えるのだろうか。
正直、なんでも良い。
きっと数週間後には美しく咲き誇り、新たな門出を祝う祝福の花を咲かせるに違いないのだから。
それを踏まえて、貴方たちが枯葉になるその時までに、私も成長した姿を見せにこよう。
貴方たちが枯葉になったように、私もたくさんのことを吸収して、必ず成長してみせるから。
花弁を散らし、青葉が枯れる、その時までに。
今日、すごく嫌なことがあった。
でもあまり気にしない。
だってあと数時間もすれば今日にさよならだ。
「きっと明日はいいことがあるよ」
毎日、寝る前に言い聞かせている。
だから、大丈夫。
お気に入りのお菓子がある。
お気に入りのアニメがある。
お気に入りの漫画がある。
思い返してみると、私の身の回りのものはほとんどが「お気に入り」で固められている。
大好きなキャラクターの缶バッチを付けた筆箱に、好きな色に染まった水筒、毎日使うパソコンも使い古しのお気に入りで、膝には幼い頃から可愛がっているぬいぐるみを乗せている。
お気に入りに囲まれた生活は、大層居心地が良い。
私の好きで溢れた、絶対に私を傷つけない空間なのだ。
友人は古いものは捨ててしまいましょう、なんて言う人が多いけれど、古くても大切なものは大切で、好きなものは好きなのだ。
だから私の楽園に手出しきせるつもりは、微塵もない。
お気に入りに埋められた城で、じっくり籠城してやるのだ。
私が私の「お気に入り」を守るために。