のなん

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4/13/2024, 9:35:33 PM

カーテンの下から目に痛い光が漏れている。
ベッドの上で寝ている、と言うより、前日倒れ込んだまま気絶したように寝入った姿勢のままの私は、眉をひそめる。
ブルーライト漬けの目には優しくない光に、苛つきを隠せないまま、ゆっくりと瞼を開く。
ピントの合わないまま、枕元を手探りする。
時刻の確認のため、スマホを見たかったのだが、それらしき感触はない。
ああ、そうか。スマホの充電すら忘れて寝てしまったのだな。
顔が乾燥している気がする。メイクを落としてない。お風呂にも入れていない。
折角の休日。そしてカーテンの隙間から漏れる光の量から察するに、おそらく外は、春の訪れを満喫するに相応しい陽気なのだろう。
しかしこんなボロボロの私は当然、外に出掛ける気力など湧かない。
このままきっと、何をする気にもなれないまま、今週も休日は終わっていく。
そしてまた、仕事に行かなくてはならない。
こんな生活が、いつまで続くのだろう。
一日の始まりを祝福するような外からの輝きに対して、胸の奥ではゆっくり、黒い靄が広がっていく。

4/13/2024, 8:43:13 AM

重い身体を引きずりながら家へ帰る。
車通りの多い道だが、私の歩く歩道は、他にすれ違う人はいない。
横の車道を走る車が、何台も私を追い抜いていく。
周辺地域は運送会社が多いため、通っていくのはほとんどがトラックだ。
トラックに乗る彼らは、夕暮れ時の今でも、家路を急ぐために運転しているわけではないだろう。きっとこれからまだ仕事だ。
それに比べると、まだ日が出ているうちに家路につける私はまだ恵まれた方だろう。
そう自分に言い聞かせても、気分は晴れない。
遠くの空に、夕日と、それに染まる雲が見える。
季節の変わり目の匂いがする。はっきり何の匂いかは分からないのだが、あの、草木が湿ったような、あの匂いだ。
ふと込み上げるものがある。胃というか胸というか。締め付けるような、突き上げるような、感覚に。目頭が熱くなり、思わず口元を歪めてこらえる。
夕日が美しいからではない。
美しい夕日を見ても、「帰ったら、お風呂に入らないと」「明日もまた、仕事だ」そうした、気が重くなるような言葉しか、浮かんでこないからだ。
いつからそんな風になってしまったんだろう。
もう一度、なりたい。
夕日を美しいと思える自分に。季節の移ろいを楽しめる自分に。
でもそんな日々がいつになったらやってくるのだろう。
そう思うと、泣きそうになる。
だけどもう、泣き方も分からなくなってしまったのだ。