のなん

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重い身体を引きずりながら家へ帰る。
車通りの多い道だが、私の歩く歩道は、他にすれ違う人はいない。
横の車道を走る車が、何台も私を追い抜いていく。
周辺地域は運送会社が多いため、通っていくのはほとんどがトラックだ。
トラックに乗る彼らは、夕暮れ時の今でも、家路を急ぐために運転しているわけではないだろう。きっとこれからまだ仕事だ。
それに比べると、まだ日が出ているうちに家路につける私はまだ恵まれた方だろう。
そう自分に言い聞かせても、気分は晴れない。
遠くの空に、夕日と、それに染まる雲が見える。
季節の変わり目の匂いがする。はっきり何の匂いかは分からないのだが、あの、草木が湿ったような、あの匂いだ。
ふと込み上げるものがある。胃というか胸というか。締め付けるような、突き上げるような、感覚に。目頭が熱くなり、思わず口元を歪めてこらえる。
夕日が美しいからではない。
美しい夕日を見ても、「帰ったら、お風呂に入らないと」「明日もまた、仕事だ」そうした、気が重くなるような言葉しか、浮かんでこないからだ。
いつからそんな風になってしまったんだろう。
もう一度、なりたい。
夕日を美しいと思える自分に。季節の移ろいを楽しめる自分に。
でもそんな日々がいつになったらやってくるのだろう。
そう思うと、泣きそうになる。
だけどもう、泣き方も分からなくなってしまったのだ。

4/13/2024, 8:43:13 AM