たった1つの希望
あなたは付き合い初めに言った
結婚は一生しないと
私は悲しかった
愛されていないんだと思った
何でもないふりをしたけど
あなたへの愛情が急降下したのを感じた
私は未来をも共に歩める人を愛したい
それでも私たちはまだ若かったから
付き合っていく中で変わるかもと
2年を過ごした
些細なことであなたと別れた
どちらにせよ別れる予定の相手に
未練はあまり感じなかった
けれども色々な男性に会う度に
あなたのようにしっくりくる人には
そうそう出会えないんだと知って
たった1つ望んだことは
あなたとの結婚だった
別れて1年が過ぎた頃
あなたから突然電話があった
あなたも同じだったんだ
別れた日々が私たちを
たった1つの希望へと結びつけた
(10)
欲望
あれが欲しいこれが欲しいと
欲望を満たしても
満足することはない
1番欲しいものは
お金では買えない
それに気づいても
手に入れる方法はわからない
それは私の中にあると
時には気づくけれど
普段は自我に隠れている
いつも側にいてくれたらと願う
ずっと共に生きていきたい
(9)
遠くの街へ
君を残して旅立つことに
何の疑問も不安も無かった
だから君に話すことさえ忘れていた
進路について聞かれて初めて
遠くの街へ行きたいと告げた
その瞬間の君の
怒りとも悲しみとも取れる顔を
今でもよく覚えている
そして君は長い沈黙の後
遠くに行くなら別れる、と言った
全く予想外の言葉だった
「その程度の気持ちだったんだね」
そう君は言ったけど
それはこっちのセリフじゃないかと思った
私たちは言葉足らずで
ただ自分の傷だけを見て涙を流した
「今度は二人で引っ越そう」
隣で楽しそうに話す君に
あの頃の未熟さを懐かしく思った
♯8
現実逃避
本を開く
文字の中の君に会うために
現実逃避
そう思われても
触れもしない君は
私の心を知り、時には叱り、愛し、支えてくれている
現実以上に現実に
私の中で強く息づいている
君は今
眠りにつこうとしても
君のことが頭から離れない
君は今、あの子と一緒にいるのかな
あの可愛い彼女と抱き合って
愛し合っているのかな
想像したら泣けてきた
君が幸せなら私も嬉しい
そう思っていたのに
例外もあるみたいだ
私が君としたかった初めての事を
君はもう他の子と経験していて
そんなどうしようもないことを
思えば思うほど涙が溢れる
好きな人が出来て
ただただ幸せだったのに
君の特別になりたいと
思ってしまった