遠くの街へ
君を残して旅立つことに
何の疑問も不安も無かった
だから君に話すことさえ忘れていた
進路について聞かれて初めて
遠くの街へ行きたいと告げた
その瞬間の君の
怒りとも悲しみとも取れる顔を
今でもよく覚えている
そして君は長い沈黙の後
遠くに行くなら別れる、と言った
全く予想外の言葉だった
「その程度の気持ちだったんだね」
そう君は言ったけど
それはこっちのセリフじゃないかと思った
私たちは言葉足らずで
ただ自分の傷だけを見て涙を流した
「今度は二人で引っ越そう」
隣で楽しそうに話す君に
あの頃の未熟さを懐かしく思った
♯8
2/28/2023, 2:04:40 PM