小学生の頃。
色の白い、ちょっと可愛らしい顔をした男の子に
一目惚れした。
結構人気があった子だった。
学校の帰り道、告白したことを覚えている。
子どもというのは、単純で、
不安が無いなら緊張もしないもので、
数人で下校していたにも関わらず、
会話の途中での、さらっとした告白だった。
「えーマジかよー」と大笑いしていたけど、
今なら分かる。あれは皆の手前だったことも
あり、照れ笑いをしたのだ。
その後、その子とはどうなることも無く、
卒業をきっかけに、私達は別々の中学校に
進学した。
数年して、同窓会があった。
今、驚くのは、同窓会のことよりも、
それよりももっと昔の告白したことの方を
覚えていることだ。
「久しぶりだね。」くらいは言ったような気が
するけど、後のことは覚えていない。
そのくらい、初恋というのは、いつまでも
心に残る、大切な思い出なのだろう。
下校途中の、さらっとした告白。
告白も一目惚れも初めてだった。
「初恋の日」
明日、世界が無くなる…願うこと、何か
思いつくだろうか。
架空の話だけあって、ピンとこないな。
穏やかな最期を迎えられますように、とか。
願うことより、後悔の方が、山ほど溢れて
きそうだ。そうだ、その後悔を全部忘れられます
ように、の方がしっくりくるかな。
「明日世界がなくなるとしたら、何を願おう。」
頭の中に、彼がいつもいて、
会う日には、化粧も服も念入りにして、
次に会えるのを楽しみに毎日を過ごす。
彼と出逢ってから、私の日常に、
そんな出来事が現れるようになった。
楽しみは思い出になり、
一緒に過ごした日々も色褪せ、
頭の中の彼は、朧げになった。
彼と離れてから、私の日常は、
そんなふうに変わっていった。
何となく、昔のような熱は無いんだろうな、と
彼を見ていて思っていた。
このまま離れたとしたら、その先はもう無い
んだろうな、と漠然と思っていた。
そしてそうなることに、悲しみや繋ぎとめようと
する気持ちも、私には無かった。
自然消滅して、時間が経つ。
彼をまったく思い出さない、とは言わない。
ぶつかり合ったこともあったけど、楽しいことも
多かったから、朧げながらも、彼は思い出の中に
いるのだ。
彼の中に、もし私との思い出があったとしたら、
「楽しかったな」と言ってくれるような、
そんな思い出になっていたらいいと思う。
欲張りかもしれないけれど。
「君に出逢ってから、私は…」
新緑の季節がやってきた。
天気のいい日は、芝生にでも寝転んだら、
さぞかし気持ちがいいだろう。
ハイジの世界みたいな。
大人になってから、外で寝転んで空を見上げる
なんて、ほぼしていないと思う。
周りを気にするというか、恥ずかしいというか。
子どもの頃は、きっとしていた。
きっとみんなでゴロゴロと転がっていた。
今、それをしようとはもう思わないけれど、
流れる雲を追ってみようか。
青空に映える白い雲を。
「大地に寝転び、雲が流れる」
プレゼントしてくれてありがとう。とか
連れてきてくれてありがとう。とか
彼にきちんと言っていた。
お礼を言わないなんてあり得ない。
ただ、それは、その時その時の「ありがとう」
だったと思う。
言っていなかったのは、「いつもありがとう」。
一緒に過ごしているのが普通になっていること、
それに対しての「ありがとう」。
言っていたら、ますます嬉しそうな顔をした
彼を見れたかもしれないと思う。
そういう「ありがとう」は、伝えるの、大事だった
かもしれない。
「ありがとう。そんな言葉を
伝えたかった」