頭の中に、彼がいつもいて、
会う日には、化粧も服も念入りにして、
次に会えるのを楽しみに毎日を過ごす。
彼と出逢ってから、私の日常に、
そんな出来事が現れるようになった。
楽しみは思い出になり、
一緒に過ごした日々も色褪せ、
頭の中の彼は、朧げになった。
彼と離れてから、私の日常は、
そんなふうに変わっていった。
何となく、昔のような熱は無いんだろうな、と
彼を見ていて思っていた。
このまま離れたとしたら、その先はもう無い
んだろうな、と漠然と思っていた。
そしてそうなることに、悲しみや繋ぎとめようと
する気持ちも、私には無かった。
自然消滅して、時間が経つ。
彼をまったく思い出さない、とは言わない。
ぶつかり合ったこともあったけど、楽しいことも
多かったから、朧げながらも、彼は思い出の中に
いるのだ。
彼の中に、もし私との思い出があったとしたら、
「楽しかったな」と言ってくれるような、
そんな思い出になっていたらいいと思う。
欲張りかもしれないけれど。
「君に出逢ってから、私は…」
5/5/2023, 1:33:57 PM