夢見 月兎

Open App
7/24/2024, 9:20:38 AM

#花咲いて

6/14/2024, 9:43:33 AM

#あじさい

6/1/2024, 9:59:11 AM

#無垢

「はやくー! こっち来てよ!!」
 白いワンピースを翻しながらネモフィラの中をかけて行く君。いつも無邪気に笑って、自由で。
「待ってよ、そんなに走ったら転んじゃうよ」
「大丈夫、大丈夫ーっ、あ」
 ずべしゃっ! 例えるならそんな音で盛大に転けた。
「ほら、言わんこっちゃない」と、僕は駆け寄って手を差し出した。
「ありがとう」
 照れ臭そうに笑いながらお礼を言う君は、汚れてもなお輝いている。
「泥が付いちゃったね……」
「このくらい大丈夫よ。洗えば落ちるわ」
 前向きな君が眩しくて、ふとしたときに、後ろめたさを覚えるんだ。それでも手放せない僕をどうかゆるさないで。

 優しい人。疑うことを知らない人。――カワイイ人。
 私、貴方が思うような子じゃないのよ。でも、こういうのが好きなんでしょ? 貴方の気が引けるなら、わざと転ぶくらいなんでもないの。だからね、愛しい人。そのままずっと騙されていてね。


【無垢なあなたを愛してる】

5/26/2024, 3:06:08 AM

#降り止まない雨

 何時間経っただろう。いや。本当は十数分かもしれないけれど。時間感覚がぼやけて分からなかった。
 天からのシャワーは水量を変えずに降り注いでいる。髪も服もこれ以上ないくらい水分を含んで体に張り付き、体もすっかり冷え込んでいた。
 あなたに会ったのもこんなひどい雨の日だった。ただひたすらに雨に打たれていた私へ、そっと傘を差し出して水を止めてくれた。
 ――いつもあなたが晴れを連れてきてくれたのに。
 動きづらい体を無理矢理に動かして冷たい石を抱き締める。今日の雨はやけに塩辛かった。


【お願い太陽、顔見せて。それが無理なら連れてって】

9/8/2023, 5:02:12 PM

#胸の鼓動

「一生の心拍数って決まってるらしいですよ」
「そうなの? だったら、私は貴方より早くゼロになっちゃうわね」
「そうとは限らないと思いますけど」
「なんでよ。私の方が1年分多く減ってるんだから絶対そうでしょ!」

 得意げに笑う貴女は、俺の想いに気付きもしない。
 ――1年分なんてとっくに追い抜いたと思うよ?


【あなたの隣は速度が上がる】

Next