夢見 月兎

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#降り止まない雨

 何時間経っただろう。いや。本当は十数分かもしれないけれど。時間感覚がぼやけて分からなかった。
 天からのシャワーは水量を変えずに降り注いでいる。髪も服もこれ以上ないくらい水分を含んで体に張り付き、体もすっかり冷え込んでいた。
 あなたに会ったのもこんなひどい雨の日だった。ただひたすらに雨に打たれていた私へ、そっと傘を差し出して水を止めてくれた。
 ――いつもあなたが晴れを連れてきてくれたのに。
 動きづらい体を無理矢理に動かして冷たい石を抱き締める。今日の雨はやけに塩辛かった。


【お願い太陽、顔見せて。それが無理なら連れてって】

5/26/2024, 3:06:08 AM